礫河原造成地の植物の変化--丸石河原固有種を中心に--

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タイトル別名
  • Changes in vegetation of prepared shingle bar

抄録

ステップ1では、永田地区が多摩川における河原固有生物の生息・生育地として重要であることの認識に基いて、緊急的なカワラノギクなどの河原固有生物の保全策を実施した。 カワラノギクの復元のために開花に要する年数を考慮して5年に1回程度冠水する高さの河原(A工区)を造成した。礫河原の造成に当たって現地で発生した土砂を10cm×15cmのスケルトンバケットでふるい,礫層をつくった。試験的に、掘削したまま、大きな礫1層、スケルトンバケットの目を細かくした小さな礫1層、小作取水堰の堆積物(細粒)、大きな礫3層の5通りの実験区をつくり、実生の定着率を比較したところ、大きな礫1層が最も定着率が高かったので、この方法でA工区の礫河原を造成した。 2004年秋にはカワラノギクの開花個体数は約10万株になり、1980年代の水準になった。あわせて、カワラヨモギやカワラハハコも生育するようになった。 造成した礫河原にかかわって植生管理を行う主体として、カワラノギクプロジェクトが、多摩川の自然を守る会の有志を母体として、多摩川センターの多摩川学校の卒業生に加わってもらって活動を始めた。2002年にはモニタリングを担当したが、2003年には植生管理の際に残す植物のマーキングを担当に加え、2004年には植生管理そのものを担うように活動を拡大してきた。造成した礫河原の植生を維持するためには、植生管理を長期間行うことがかぎになる。植生管理の継続に伴って、優占種は現在、ヒメムカシヨモギになっている。除草作業の際には、ヒメムカシヨモギは気持ちがよいほどよく抜ける。植生管理作業を行っていたときに、ヒメムカシヨモギを選択的に除草していたメンバーがいた。楽しみとして植生管理にかかわることのできる市民が増えれば、植生管理も長続きするであろう。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680666684032
  • NII論文ID
    130007011175
  • DOI
    10.14848/esj.esj52.0.70.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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