スズムシにおける雄の求愛シグナル生産量に対する齢と交尾経験の影響

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タイトル別名
  • The role of male age and mating status on courtship signal in the bell cricket

抄録

生活史戦略の分野で広く研究されてきた現在と将来の繁殖間のトレードオフが、性淘汰の研究では長らく無視されてきた。そのため、求愛行動が生涯で変化することは注目されていない。しかし、求愛行動にもエネルギーコストや捕食コストがともなう。すなわち、求愛行動に投資すると将来の繁殖の機会が減少する。したがって、求愛行動への投資量は生涯で一定とは限らず、個体が生涯の各時期に適応的に配分することが考えられる。理論的な研究によると、残存繁殖価が減少する(齢が進む)と、求愛への投資量が増加することが示されている。本研究では、スズムシを材料に、雄の求愛シグナルの生産量が齢の進行にともない実際に増加するのか調査した。その結果、1日当たりの鳴き時間は若いうちには個体間に差は無く、齢が進むと体重の重い個体の鳴き時間は増加し、軽い個体の鳴き時間は減少した。この結果は個体の手持ち資源量に応じて、求愛への資源配分の戦術が異なることを示す。発表では、この結果とさらに交尾経験のある雄を用いた結果とを合わせて考察する。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680666686464
  • NII論文ID
    130007011179
  • DOI
    10.14848/esj.esj52.0.699.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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