アポイ岳の植生保護に関する現状

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タイトル別名
  • Nature protection of vegetation of Mt. Apoi

抄録

アポイ岳(標高810.6m)は、日高様似郡冬島の海岸線から4kmの距離に位置し、幌満川をはさんで東の幌満岳(685.4m)と対峙している。アポイ岳の頂上から北方へ尾根をたどると、吉田山(825.1m)やピンネシリ(958.2m)をへて日高山脈の南部に至る。<br> これらのアポイ岳、吉田岳、ピンネシリをまとめてアポイ山塊というが、この山塊は、幌満岳とともに、中生代ジュラ紀(1億5千万年前)に始まり新生代第三紀末(約150万年前)まで続いたといわれる日高造山運動によって形成され、その主要な岩石はダンカンラン岩、カンラン岩、斜長石カンラン岩などの超塩基性岩で、幌満カンラン岩または幌満超塩基岩体といわれている。岩体の主体はダンカンラン岩であるが、長期間の風化にもかかわらず蛇紋岩化された程度は低く、山塊の尾根や斜面に露出している。<br> このような地形や地質が特徴づけられる低山の尾根部分が、1)夏期に海霧の影響を受け気温が低下し、2)冬期は海からの風(西風)で積雪が減少する位置にあること、3)日高山脈などとともに第三紀を通じて陸地であったこと、4)山塊が超塩基性岩でなりたっていることなどが、古い時代からの植物を残存させ、隔離・保護・進化させる場所になったと考えられている。<br> 上記のような特殊な場所に成立してきた植物群落は近年、自然現象の変化および人為的な影響により急速に変わりつつある。特に人為的な影響は大きく、特殊な植物群落や固有種が極端に減少してしまった。そのような変化の実態を報告し、かつ現在どのように植生の保護および保全を行っているかを、これまでの成果をもとに述べる。また、地方自治体および地元団体の活動とそれによるアポイ岳の将来性についても述べる。<br>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680667015296
  • NII論文ID
    130007011765
  • DOI
    10.14848/esj.esj51.0.39.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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