アポイ岳・幌満岳の超塩基性岩植生

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タイトル別名
  • Vegetation of ultramafic sites at Mt. Apoi and Mt. Horoman, Hokkaido, Japan

抄録

アポイ岳・幌満岳には、固有種を含む希少植物が多く知られ、それらの劣化が指摘されてきた。この点に関して、植生生態学の立場から論考する。<br> 両山岳の超塩基性岩地に成立する荒原・草原植生について、同じ群落面積に対して調査年を変えてそれぞれ多数の方形区を設定する「偽の永久方形区法Quasi Permanent Quadrat Method」により、植生変化とその主要構成種である希少植物の変化を確認した。アポイ岳では、大場(1968)、Ohba(1974)、筆者(1983年と1994年の調査)ならびに中村(1988)による過去の植生資料と、2001~2002年に調査した植生資料を比較し(佐藤2002, 2003b)、幌満岳では、1994年と2001年の植生資料を比較した(佐藤2003a)。<br> その結果、アポイ岳では、2001~2002年に量的に少なかった希少植物は1994年以前にもほとんど同様に希少であり、植生と希少植物に明らかな変化が認められなかった。それに対して、幌満岳では、とりわけ固有種ヒダカソウが1994年と2001年の間に優占度が著しく減少し、開花結実個体が量的に激減した。以上の一因として、アポイ岳では1994年以前の古い時代に盗掘が進んでしまい、まったく衆人環視ができない幌満岳では1994年以降でも盗掘が続いたと考えられた。<br> 植物群落の立地把握によって希少植物の生育地を網羅した結果、例えば岩隙と岩礫地の両者に生育するヒダカソウは両山岳において生育地を違える結果が得られた。この点でも人為要因・盗掘の影響が示唆された。さらに、両山岳の絶滅危惧植物に関する保全策について、群落立地・種の生育地の実態と変化を見る観点から考察したい。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680667110784
  • NII論文ID
    130007011936
  • DOI
    10.14848/esj.esj51.0.36.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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