Genetic analysis of serpentine relict plant Japonolirion osense by using AFLP method

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Other Title
  • AFLP法を用いた蛇紋岩遺存植物オゼソウの集団分化と遺伝的変異の解析

Description

日本の高山に飛び地状に分布する蛇紋岩環境は、Mgや重金属イオンの存在や貧栄養、土壌の崩壊性などの性質によって植物にとって生理的ストレスが高い環境である。そこでは蛇紋岩環境に適応した、最終氷期以降の遺存植物が生育し特異的な植生が形成されている。<br> 本研究では、蛇紋岩植物の生育環境と集団遺伝構造を明らかにするため、北海道の天塩研究林と群馬県の至仏山、谷川岳の3地域のみに生育する蛇紋岩遺存植物オゼソウを対象として、植生調査、AFLP法による集団遺伝学的解析を行った。<br>植生調査からは、オゼソウ群落は雪田群落環境ではあるが、草丈の高いハクサンイチゲなどの優占種が生育しない腐植土層の浅い立地に限って出現することがわかった。このような立地環境は、土壌崩壊が容易に起こりうる場所であり、いったん登山道が作られると流水による土壌流出がオゼソウや他の植物の生育に大きな影響を与えている可能性が高い。これらのことは、蛇紋岩土壌の化学的性質よりも物理的性質がより強くオゼソウの生育に影響を与えていることが示唆された。<br>AFLP解析の結果からは、北海道側と群馬側ではオゼソウ集団に大きな集団分化が起きていることが示された。このことはオゼソウ群落が地域個体群ごとに強いまとまりを持ち、蛇紋岩地帯に分断化されて以降、遺伝子流動が起こらずに独自に分化していったと考えられる。また、集団内の遺伝的変異が全般的に低い傾向が見られ、蛇紋岩環境に対するクローン繁殖による適応が示唆された。<br>

Journal

Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680667357568
  • NII Article ID
    130007012374
  • DOI
    10.14848/esj.esj51.0.239.0
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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