里地におけるアカマツの分布構造の変化と要因

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タイトル別名
  • Distributional Pattern and Change of Pine Forest in Japanese Rural Randscape

抄録

広島県芸北町八幡地区において,2001年に撮影された空中写真から植生図を作製し,1950年に現地調査により作製された植生図と比較することにより,約40年間における植生の変化を調べた.その結果,アカマツ林の面積にはほとんど変化がなかったが,その分布には変化が見られた.本研究では,草地から落葉広葉樹林へと至る遷移過程にあるアカマツ林に着目し,二つの異なる遷移段階,すなわち草地からアカマツ林への移行段階と,アカマツ林から落葉広葉樹林への移行段階において,立地の特性が遷移に及ぼす影響を比較した.立地特性を表す変数には標高,傾斜,起伏量,CTI(wetness Index),プラシアンの地形量を用い,ステップワイズ判別分析を行った.遷移の初期段階では,湿潤で平坦な場所ではアカマツは低密度の林分は形成するために比較的草地が維持され,乾燥した起伏の大きな地形の境界部分においてアカマツ林へと遷移することが示された.一方,アカマツ林から落葉広葉樹林へと至る過程では,明確な立地特性は検出されなかった.これらの結果から,水分や地形の立地条件は,草地からアカマツ林が成立するまでの遷移初期段階に強く影響するが,その後の遷移過程では遷移速度を決定する十分条件にはなり得ないことが明らかになった.

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680667921280
  • NII論文ID
    130007013231
  • DOI
    10.14848/esj.esj52.0.487.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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