鳥散布型植物の種子散布と定着に及ぼす林縁の効果

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タイトル別名
  • Effect of forest edge on seed dispersal and seedling establishment of bird-dispersed plants

抄録

はじめに<br> 林縁は植物群落の発達に様々な効果をもたらすと考えられている。本研究は、混交する広葉樹の発達程度が異なるクロマツ人工林の林縁と林内それぞれにおいて、鳥類により散布される種子と林床植生を比較することによって、植生の遷移に及ぼす林縁の効果を明らかにする。<br>調査方法<br> 調査は新潟県巻町の砂丘上に植栽された約80年生の海岸クロマツ林2林分で行った。広葉樹が亜高木層に達していない林分を未発達林、亜高木層に達している林分を発達林と定義し、それぞれの林縁と林内に調査区を設けた。これら4調査区それぞれにシードトラップを20個設置し、約2週間に一度捕捉された種子を回収し、種ごとに個数を数えた。また、シードトラップを含む5×5mの枠に出現した樹高2m以上の木本植物と、その中に設置した1×1mの枠に出現した高さ1m未満の植物名を記録した。なお、種子回収日において林分内で結実が確認された種以外の種子は、調査林外から散布されたものと定義した。<br>結果と考察<br> シードトラップに捕捉された鳥散布種子は林内より林縁で多く、未発達林より発達林で多かった。一方、出現した植物の種数には調査区による違いはなかった。しかし、種構成や出現頻度は異なっており、林分内で出現しなかった植物の種子は林縁でより多く散布されていた。以上の結果から、鳥類により散布された種子は、林縁に混交する広葉樹の影響を受けていることが明らかになった。したがって林縁に広葉樹が混交する林分は鳥散布植物の種子、特に林分内に結実していない種の種子を誘引していることが明らかになった。<br>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680668054016
  • NII論文ID
    130007013435
  • DOI
    10.14848/esj.esj51.0.441.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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