平ヶ岳におけるハイマツの生長量変動(その2. 年枝成長)
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- 安田 正次
- 千葉大学・院
書誌事項
- タイトル別名
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- The grouth rate changing of Pinus pumila in the Mt.Hiragatake, Central Japan. Part 2. Shoot
抄録
はじめに 群馬・新潟県境にまたがる山岳地帯は日本でも有数の豪雪地帯で、この地域に成育する植物はこの積雪の影響を強く受けた植生が発達している。しかし、近年この地域では積雪量の減少や気温の上昇が認められていおり、植生への影響が懸念されている。 そこで、この地域における気候の変動が植物へ影響を及ぼしているかどうかを明らかにするために、平ヶ岳においてハイマツの年輪による生長量調査を行った。その結果、1970年代後半から急激な生長量の増加が見られた(図1)。しかし、どのような環境の変動によって発生したものかは明らかにならなかった。 そこで、ハイマツの急激な生長量の増加の要因を明らかにするために、年枝生長痕による生長量調査を行い、平ヶ岳におけるハイマツの生長要因について更に詳細な検討を行った。調査方法および気候資料 調査はこの地域のほぼ中央に位置する平ヶ岳において行った。平ヶ岳頂上部に成育しているハイマツの主幹先端部の年枝生長痕について読み取りを行った。 気候資料に関しては、近年観測されている平ヶ岳の積雪深記録および平ヶ岳から10km程の南に位置する山の鼻で観測されている気温・日射量などの記録を用いた。結果と考察 ハイマツの伸長量データを図2に示す。ここからも年輪生長量と同様に1970年後半から1980年終わりにかけて生長量が大きかった事が判る。また、サンプルによっては1990年代に旺盛な生長を見せたものもあった。 これらの生長量変動に対して積雪記録との比較を行ったところ、当年枝の生長には、前年からの積雪日数・初雪日など・当年の消雪日・前年の積雪の無かった日数が関連している事が明らかになった。 気温に関しては一般的に知られているように前年と今年の比が関連していることが確認された。また、7月8月の最高気温に関して当年枝の生長量には負に働く事も明らかとなった。 日射量に関しては6月日射量が多いと生長量に対して負に働く事、7?10月は緩い相関が、10月は次年生長する枝の生長量に強い相関が見られた。 これらの結果より、 ハイマツの生長量は、消雪日が早いなど成育期間が長いこと、とある程度の気温がの上昇が正に働き、気温が低い時の日射や夏期の過多な高温などが生長を阻害する事が明らかとなった。 今回調査を行ったハイマツは平ヶ岳頂上部湿原周辺に成育しているものであった。そのために、湿原の乾燥などが生長量の変動に影響を及ぼしていると考えられる。今後は湿原環境の変化も考慮に入れて変動の要因を明らかにする必要があるだろう。
収録刊行物
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- 日本地理学会発表要旨集
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日本地理学会発表要旨集 2005s (0), 275-275, 2005
公益社団法人 日本地理学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680668508160
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- NII論文ID
- 130007014002
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可