福岡県西方沖地震の噴砂と警固断層周辺の土地利用のGISによる検討

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  • GIS Analysis on Liquefaction caused by West-off Fukuoka Earthquake and the Land-use Problems along the Kego active Fault, in Fukuoka

抄録

<BR> 福岡市周辺地域は,2005年3月20日発生の福岡県西方沖地震によって大きな被害を受けた。博多湾沿岸の埋立地では液状化に伴う噴砂や噴水現象が多数観察された。ここでは,GISを利用して,1947年撮影の米軍空中写真と2005年3月21日撮影の空中写真とを現在の地形図上にオーバーレイし,博多湾東南部で福岡県西方沖地震による液状化現象(噴砂・噴水)の確認された地点と埋立地との関係について検討する。<BR>  また,福岡県西方沖地震によって,この地震の震源断層の延長部に位置する警固断層で将来の地震への対応を考慮する必要が生じている。これについてもGISを用いて,警固断層周辺の地下構造と,地表の起伏との関連を示すとともに,警固断層周辺の土地利用についても検討し,必要な対策への提言の基礎データとする作業を実施した。これらの作業結果について報告する。<BR>  福岡県西方沖地震による液状化と埋め立て地の関係についての調査地域は博多湾東南部沿岸地域で,福岡市東区多々良川河口から中央区にかけての沿岸部である。この地域は戦後に大規模な埠頭が建設されたほか,戦前の埋立地も認められ,福岡県西方沖地震では,戦前および戦後の埋立地の各地で液状化に伴う噴砂・噴水現象が観察された。しかし,明治期以降の埋立地以外では,噴砂の確認された地点は2箇所のみであり,その場所は近世まで河口干潟が形成されていた場所である。福岡県西方沖地震による液状化被害は,明治期以降の埋立地で集中的に生じた。<BR>  警固断層周辺の地下構造と土地利用についてもGISを用いて,警固断層の想定位置を地図上に作図し,1947年米軍撮影の空中写真をオーバーレイした。1947年当時の市街地は警固断層北部が中心であったが,現在は断層周辺の全域がほぼ市街地化したことがわかる。また,災害時に重要な拠点となる病院と学校について,警固断層想定位置から半径500mの内部にあるものを地図上から作図し,かなりの数の学校や病院が警固断層付近に存在していることを確認した。<BR>  さらに,警固断層周辺の試錐データによる基盤深度データをポイントデータ化の上で内挿してラスタ画像を作成し,警固断層周辺の地形高度データとGIS上で立体的に合成した。この手法では岩着しなかった試錐データの処理に課題はあるが,地表から基盤までの地形全体を立体的に表示できるため,学校の位置と断層位置,地盤との関連などをわかりやすく表示することが可能である。<BR>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680668627584
  • NII論文ID
    130007014152
  • DOI
    10.14866/ajg.2007s.0.202.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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