ラッツェルとブラーシュに関する地理教育論的考察

書誌事項

タイトル別名
  • A Study on the Ratzel.F and Blache.P from the Viewpoint of Geographical Education

説明

「自然と人間との関係」というテーマは、地理教育・地理学習の最も重要な目標であり内容の1つである。戦前には環境決定論(自然決定論)的な考え方がみられたが、戦後においては環境決定論の非科学性が批判されるとともに、環境可能論(可能論)が中心的・主流的な考え方となった。環境決定論を代表する地理学者はラッツェルであり、環境可能論を代表するのがブラーシュといわれている。そのため、「環境決定論=ラッツェル=悪」、「環境可能論=ブラーシュ=善」という図式が地理教育界において強く浸透した。環境決定論批判、ラッツェル批判を一貫して主張したのは飯塚浩二で、飯塚の著作を通じて環境決定論批判、ラッツェル批判が地理学・地理教育界に広まっていった。したがって、多くの地理教師のラッツェル理解は飯塚の論じたラッツェルの理解であって、ラッツェル自身の著作に基づくものではない。そのような中、最近、由比濱(2006)によって、ラッツェルの主著『人類地理学』(第一巻1882、第二巻1891、古今書院)の訳書が刊行され、ラッツェル地理学の正確な姿を論じる基盤が整った。一方、ブラーシュの『人文地理学原理』(1922)は既に飯塚によって翻訳されている(1940,岩波文庫)。こうして、ラッツェルとブラーシュという近代地理学史上の2巨人の主著の訳書が出揃い、地理教師各自が自らの眼で両著を考察することができるようになった。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680668728320
  • NII論文ID
    130007014264
  • DOI
    10.14866/ajg.2007s.0.5.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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