世界の諸地域をどう教えるか

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書誌事項

タイトル別名
  • What Various Areas in the World should be taught
  • Thinking about Education for World Geography
  • 世界地誌教育のあり方を考える

抄録

1.はじめに本シンポジウムは、日本地理学会世界地誌教育研究グループ(代表:福島義和)の2年間(2004年4月_から_06年3月)の活動成果について小学校、中学校、高等学校、大学それぞれの現場に属するメンバーが報告を行い、それを踏まえてコメンテーターやフロアからの意見を交えながら世界地誌教育のあり方について幅広い議論を展開していくことを主眼としている。報告内容の詳細については各発表者に委ねることにして、ここでは趣旨説明を兼ねて本グループの活動の概要を紹介することで本シンポジウム開催に至った経緯について以下に述べることにしたい。2.世界地誌教育研究グループ結成の背景本グループの結成は、2002年_から_03年度地理教育専門委員会(委員長:福島義和)の活動の総括として2004年度春季学術大会(東京経済大学)においてシンポジウム「小・中・高地理教育一貫カリキュラムの方向性を問う」を開催し、地理教育の全体目標を踏まえながら望ましい一貫カリキュラムのあり方について小・中・高・高専それぞれの立場から試案を提案したことがきっかけとなっている。そして、シンポジウムで得た多くの方々からのご意見やアドバイスを教訓に、地理教育の今日置かれている状況を踏まえつつ、その独自性を主張するために地域に立ち返ることの必要性をメンバー一同痛感し、地域研究の成果を生かした世界地誌学習のあり方について議論するための研究会を立ち上げるに至った。グループ結成後は、「教育現場における網羅的かつ事実認識中心の現行地誌教育に対する飽き足らなさ」「学習指導要領改訂に伴う地誌教育の事例主義・スキル中心主義への転換に対する批判」をメンバーの共通認識とし、地域認識と諸課題学習、市民性育成とをバランス良く取り込んだ「新しい世界地誌教育」のあり方について模索するべく、グループ活動の目的を以下のように設定した。_丸1_地理学ないしは地誌学の成果を教育現場において還元していくことを目指す。_丸2_地域理解という視点を踏まえつつも、諸課題解決へ向けての地理学の社会的貢献を踏まえた新しい世界地誌教育の構築を目指す。_丸3_地域研究(動態地誌)の成果に基づいた現場で役立つ世界地誌教材の作成・提供、カリキュラム開発を目指す。_丸4_世界地誌教育を通じて最終的には「グローカル」な視野を持った市民を育成することを目指す。3.実際の活動内容当初は世界地理の授業実践に役立つ教材開発を主な活動として行う予定であったが、日本地理教育学会をはじめとする各学会において一貫カリキュラム開発の動きがあったため、本グループもそれに倣って、小中高一貫世界地誌教育カリキュラム試案作成の可能性について探ることになった。その際、「何を中心概念に置くのか」「各学校段階でどのような学習アプローチを採用するのか」「何をテーマとするのか」「どこの地域を取り上げるのか」といった課題点について討議を重ねていった。また、地域の現状を考察する目を養うために、エクスカーションを山形市周辺地域と埼玉県飯能市周辺地域で行った。さらに、本グループの研究成果の中間報告を兼ねて、2005年度の秋季学術大会(茨城大学)においてメンバーの一部(泉、池下、日原)が連続発表を行うことで各自の世界地誌教育に対する見解を整理・再確認するとともに、そこから地誌教育についての共通項を探っていった。4.本シンポジウムの目的本シンポジウムでは、本グループの懸案事項である世界地誌教育一貫カリキュラム開発へ向けての手がかりを得るべく、以下の手順で進行していくこととする。_丸1_各報告者より小・中・高・大の各段階での世界地誌学習の実践への取り組みとそれに伴う問題点について提示させていただくとともに、各発達段階における世界地誌学習のあり方について提案させていただく。_丸2__丸1_を踏まえながら、コメンテーターより地域研究の視点、ないしは地誌学習の授業の組み立て方についてご提案いただく。_丸3__丸1__丸2_を踏まえながら、21世紀型世界地誌教育のあり方や一貫カリキュラム開発の可能性について一定の方向性を見いだす。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680668756224
  • NII論文ID
    130007014309
  • DOI
    10.14866/ajg.2006s.0.74.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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