The trend of geographical studies concerned with urban redevelopments in Japan

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  • 日本の地理学における都市再開発の研究動向

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_I_ はじめに 都市再開発は学際的な研究テーマであり,建築や土木といった都市工学的,都市計画学的観点からだけでなく,経済学や政治学など社会科学の立場からも多くの研究がなされてきた.地理学においても都市再開発は関心の高いテーマであった.各分野の既往研究を横断的に整理する必要があるが,それらの量は膨大であり,かつ観点やアプローチが多様であるため,そのような整理が十分には行われてこなかったのが現状である.また,地理学における都市再開発の既往研究に関しても,体系的な整理がなされてはいない.そこで本稿では,既往研究を通じて戦後の日本における都市再開発の展開とその背景を概観するとともに,地理学における都市再開発の研究動向を整理することを目的とする._II_ 戦後の都市再開発の展開とその背景 第2次大戦後の日本における都市再開発は,様々な出来事や法制度の影響を受ける形で展開されてきた.都市再開発の潮流や背景などから,都市再開発の動向を,1)第2次大戦後_から_1960年代,2)市街地再開発事業による都市再開発,3)都市再開発の新たな潮流,4)バブル経済とその崩壊,5)中心市街地活性化と「都市再生」の5つに区分できよう. 戦後における都市再開発の展開を考察した結果,幾つかの特徴が明らかとなった.第1に,都市再開発が重点的に実施された地域が変化してきた点であり,第2に,欧米における都市再開発の展開と類似してきた点である.しかし,再開発の中身や理念には差異もみられる.矢作(2002)は,都市再生が共通の政策課題である日本とヨーロッパ諸国とでは,その理念や手法において大きな差異があることを指摘した.そして第3に,経済的・政治的論理が優先されてきた点である.その結果,再開発が必要な場所ではなく,実施可能な場所で都市再開発が展開されてきた._III_ 地理学における都市再開発の研究 阿部(2001:227_-_228)は地理学における「都市再開発研究」が少ない点を指摘したが,筆者も同様に考える.しかし,それは再開発そのものに焦点をあてた研究が少ないという意味であり,再開発に関する研究が不足するということではない.地理学における都市再開発の研究を整理すると,空間的変化に着目した研究と展開や実施プロセスに焦点をあてた研究とに大別できる.さらに前者は,再開発による空間的変化に関する研究と,都市化など都市構造変化との関連で論じられた研究とに分けられる.後者に関しては,近年,アクターに着目し,政治的コンテクストから再開発を分析した研究がみられる._IV_ 今後の課題 地理学における既往研究の体系的な整理を踏まえ,それらの研究を「都市再開発研究」の枠組みの中で位置づける必要がある.文 献阿部恵伯 2001.都市再開発による地域経済循環!)所沢市を事例にして.小金澤孝昭・笹川耕太郎・青野壽彦ほか編『地域研究・地域学習の視点』226_-_246.大明堂.矢作 弘 2002.グランドデザインなき「都市再生」.都市問題93(3):3_-_15.

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680669153152
  • NII Article ID
    130007014867
  • DOI
    10.14866/ajg.2006s.0.162.0
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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