冷凍下における油脂の結晶化がマヨネーズ様O/Wエマルションの安定性に及ぼす影響
書誌事項
- タイトル別名
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- Influence of fat crystallization on the freeze-thaw stability of mayonnaise-type O/W emulsions
説明
【背景】O/Wエマルションは,冷凍-解凍によって水と油が分離すること(エマルションの不安定化)が知られており,この要因の1つが油脂の結晶化と考えられている.油脂結晶は針状結晶や微結晶といった様々な結晶形態をとり,また同一の化学組成であるが異なる結晶構造を有する多形現象を示すが,それらがO/Wエマルションの冷凍-解凍安定性に及ぼす影響は不明である.そこで本研究では,油脂を多く含むO/Wエマルション食品のモデルとしてマヨネーズを用い,冷凍-解凍によるO/Wエマルションの不安定化に油脂の結晶化が及ぼす影響を調べた.<br />【方法】菜種油または大豆油:70 wt%,卵黄:15 wt%,酢:15 wt%の割合で調製したマヨネーズ様O/Wエマルションを試料とした(以下,菜種油エマルション,大豆油エマルションと呼ぶ).エマルションの安定性試験は-20 °Cで行い,不安定化が進行する時間帯を調べた.さらに,その時間帯における油脂の結晶多形をX線回折測定,油脂の結晶形態を偏光顕微鏡観察によって調べた.<br />【結果】エマルションの安定性試験の結果,菜種油エマルションは保存4~6時間,大豆油エマルションは保存30~42時間の間で不安定化が進行していた.偏光顕微鏡観察の結果,菜種油エマルションでは油脂結晶が油滴界面を突き破りながら成長していく様子が観察されたが,大豆油エマルションでは油滴界面を囲って油脂が結晶化していた.X線回折測定の結果,菜種油エマルションでは結晶多形の変化はなかったが,大豆油エマルションでは油脂結晶が異なる多形に変化していた.以上の結果から,菜種油エマルションは冷凍保存中の油脂結晶の粗大化,大豆油エマルションは油滴界面の結晶が異なる多形に変化したことによって不安定化したと考えられる.
収録刊行物
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- 日本調理科学会大会研究発表要旨集
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日本調理科学会大会研究発表要旨集 29 (0), 55-, 2017
日本調理科学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680669478656
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- NII論文ID
- 130006035134
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可