A Sense of Belonging and Space Observed in the Communications throuth the Bulletin Boards

  • WADA Takashi
    Regional Science Laboratory Graduate student, Hiroshima University

Bibliographic Information

Other Title
  • 電子掲示板上のコミュニケーションにみられる共同性と空間性
  • Case Study of "Machi BBS"
  • 「まちBBS」を事例として

Description

<BR> 電子掲示板の起源はパソコン通信に遡ることができる。1990年代前半までは,個人運営の小規模なパソコン通信ネットワークが主流であった。その後,大手商用ネットが登場し,電子掲示板が運営された。インターネット上に電子掲示板が最初に作成されたのは1995年といわれる。パソコン通信とインターネットの電子掲示板を比較すると,前者には管理者が配置され,入会審査や不適切な発言の削除などを通じて,参加者とその発言内容に関する信頼性を保証してきた。一方,後者は,運営者が入会資格を設定しない場合や進行役を配置しない場合,匿名投稿を認める場合がみられる。両者のこうした違いについて,上村(2004)は「パソコン通信のコミュニティが整然と手入れされた庭園だとすれば,インターネット掲示板はさながら雑居ビルの谷間の空き地とでもいった感がある」であると評している。<BR>  電子掲示板は参加者のコミュニケーションを通じてバーチャルなコミュニティを形成する。それらは地理的な近接性という制約から解放され,参加者の興味や関心に応じて様々な地理的スケールで形成されている。その興味や関心は政治や文化,スポーツなどといった分野やテーマだけでなく,特定の地域を興味や関心の対象とするケースも存在する。<BR>  本研究は,インターネット上の電子掲示板を利用したローカルなコミュニケーションの展開過程とその特徴,電子掲示板上のコミュニケーションを通じたリアルスペースにおける共同行動の展開とその地域的特色について,事例分析を通じて実証的に解明することを目的とする。<BR> <BR> 2. 分析手順<BR>  本研究はインターネット上の電子掲示板に形成される“ローカル”なコミュニケーションの実態について事例研究を行おうとするものである。そのため,特定地域を対象とするとともに,匿名性や低い目的意識,コミュニティへの関わりの希薄さなどを特徴とする電子掲示板を研究対象とすることが望ましい。これらの条件を満たす電子掲示板の一つが「まちBBS」である。<BR>  「まちBBS」における都市別にオフ会に関する情報交換を行うスレッド数をみると,中国地方はその件数が突出している。もっともスレッド数が多いのは広島であり,松江,岡山,山口がこれに続いている。そこで,本研究では広島及び松江においてオフ会に関する情報交換を行うスレッド(以下,「広島オフスレ」及び「山陰オフスレ」という)を研究対象としてとりあげる。本研究における実査は,「広島オフスレ」と「山陰オフスレ」への投稿について,テキスト分析を通じてコミュニケーションの展開過程と投稿者間の対人関係を読み解くとともに,キーパーソンを対象とした聞き取り調査を併せて実施することにより,オフ会の開催状況を明らかにした。分析対象は,「広島オフスレ」が2002年2月から2003年1月までに投稿された3,686件,山陰オフスレが2003年4月から2004年3月までに投稿された4,405件とした。<BR> <BR> 3. 結論<BR> (1)「まちBBS」における円滑なコミュニケーションの継続やオフ会の企画・実行にはコーディネーターとしてのはたらきをするキーパーソンの存在が重要である。彼らの投稿件数は他の利用者と比べて多く,オフ会の企画調整だけでなく,運営方針の検討やフレーミングへの対応まで行っている。<BR> (2)匿名投稿を原則とし,利用者同士の信頼感を醸成しにくい中で,「広島オフスレ」では携帯電話のアドレス,「山陰オフスレ」ではBBS上への個人情報の部分的開示を通じて,お互いに信頼度を確認しあい,対面接触によるオフ会の開催へと結びつけている。<BR> (3)「まちBBS」では,それ特有のコミュニケーション・コードとカーニバル性,地域意識によって,お互いに繋がりうることをフックにした瞬発的な盛り上がりを源泉とする集団への帰属感-共同性ムがみられる。<BR> (4)「まちBBS」は,利用者によるアクセスと出会い,コミュニケーション,退場が観察される点において,バーチャルな広場(square)と位置づけられる。利用者はバーチャルな広場とリアルな広場(オフ会の開催場所)を往還しながらコミュニケーションを展開している。そして,そこへのアクセシビリティは心理的要因と社会的要因,交通条件によって規定されている。<BR> <BR> 文献<BR> 上村圭介(2004):パソコン通信とインターネットに光ネット・コミュニティの進化.原田泉・土屋大洋編『デジタル・ツナガリー拡大するネットコミュニティの光と影』NTT出版,pp.15-39.<BR>

Journal

Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680669490816
  • NII Article ID
    130007015322
  • DOI
    10.14866/ajg.2008s.0.109.0
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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