パプリカに含まれるルテオリン配糖体の加水分解とその最適化

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タイトル別名
  • Hydrolysis of luteolin glycosides contained in bell pepper (Capsicum annuum L. 'grossum')

抄録

【目的】パプリカには機能性フラボノイドの一種であるルテオリンが含まれており,果皮中にはルテオリン-7-アピオシルマロニルグルコシド(L-7-AMG)配糖体の状態で存在している。しかしペースト状に加工し保存すると,L-7-AMGは減少しルテオリン-7-アピオシルグルコシド(L-7-AG)が増加する。一方,一般にフラボノイドは配糖体よりもルテオリン-7-グルコシド(L-7-G)やアグリコンの方が体内吸収が良いとされている。これらのことから加工条件をコントロールすることで,ルテオリンの体内吸収力を高めたペーストを作れるのではないかと考えた。そこで,ルテオリン配糖体の加水分解に関わる要因を特定し,効率的な加水分解条件について検討した。<br />【方法】パプリカをミキサーにて粉砕しペーストを調製した。酸濃度,加熱時間を変えて反応前後のフラボノイド配糖体の組成を測定した。測定はODS系カラムを接続したHPLCを用いて行った。<br />【結果】パプリカ果皮由来のフラボノイドの加水分解は,マロニルエステラーゼ活性の存在が原因であった。80℃で20分以上加熱するとペーストのルテオリン配糖体組成には変動は見られなくなった。この酵素はマロニル基の離脱のみを促進していたので,更なる加水分解には酸性条件下での加熱が必要であった。クエン酸を添加し加熱加圧処理を2段階行うことでL-7-Gを多く含む配糖体が得られた。さらにpHを調整後にβ-グルコシダーゼを添加するとルテオリンアグリコンが生成された。この過程によれば,ペースト中のルテオリン含量はほとんど損失することなくL-7-Gやアグリコンを得ることができた。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680669514240
  • NII論文ID
    130006035173
  • DOI
    10.11402/ajscs.29.0_34
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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