Distribution of Passengers Using Train Stations in Kyoto-Osaka-Kobe Metropolitan Area

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  • 京阪神大都市圏における駅の乗降者数の分布に関する分析

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I.はじめに<BR>  本研究はGISを利用して居住地と自然環境との関係を分析した一連の発表(財城ほか、2005年度春季日本地理学会;香川ほか、2006年度春季日本地理学会)の続編である。前回は東京大都市圏における駅の乗降者数と駅前地価を入力し、都心部からの距離や時間、駅周辺のバッファ人口との比較を分析した。今回は、同じく(株)エンタテインメントビジネス総合研究所編集・発行の『東京大都市圏 京阪神圏 駅別乗降者数総覧』から、京阪神大都市圏の駅乗降者数を分析対象とする。作業自体は同じことの繰り返しであるが、東京大都市圏と京阪神大都市圏の差異を浮かび上がらせることが可能となる。とくに東京への集中傾向が、大阪・京都・神戸といった中心地とどのように異なるかを明らかにすることが、一連のGISによる諸指標を用いた都市構造の分析に加えて、本発表の研究目的となる。<BR> II.データと研究方法<BR>  上述の資料には、1日あたり平均乗降者数1位の梅田駅(大阪駅等4社10路線を含む)から最下位の神戸電鉄菊水山駅(2005年廃止)までの1108駅が京阪神圏の対象となっている。2002年度の乗降者数を入力するとともに、国税庁のHPによって2003年分の駅前路線価を入力した。東京大都市圏と同様、路線価がない、もしくは個別評価や倍率地域のため、駅前に路線価金額の表示がない駅もあるので、地価の分析対象は948駅となった。前回の分析では東京の都心部として山手線内を設定し、山手線接続駅もしくはその最寄り駅から各駅までの距離と時間を指標として用いたが、大阪に対する京都や神戸の相対的な独立性を考えて、今回は都心からの距離と時間の測定を実施しなかった。その代わり、時間軸を取り入れ、資料にある1999年度の乗降者数と、国税庁のHPから2006年分の路線価をデータに加えることにした。これらのデータをGISソフトに入力することで、さまざま属性からなる駅のポイントデータを作成した。駅の数値的な分布傾向は、相関分析と回帰分析によって特徴を把握した。地理的な分布をGISによって地図化し、駅乗降者数と駅周辺人口との関係は半径2kmバッファ人口を駅別に求めることによって、両者を比較した。<BR> III.考察<BR>  東京大都市圏と同じく、駅の乗降者数と駅前地価はほぼ比例しており、地価の高い都心部の地下鉄駅では乗降者数が少ない傾向がみられた。両指標とも大阪の中心部の駅が上位を占めるなか、神戸や京都の中心部の駅も割り込んでいる。乗降者数では明石、駅前地価では姫路が20位以内に入った。ただし、単純に数字を比較してみると、東京大都市圏と比べて人口規模の違いがわかる。駅乗降者数が京阪神の10位でも東京では50位以下、駅前地価では100位以下となる。また、時間軸を加えることによって3年間という短期間とはいえ、駅乗降者数と駅前地価の激変地域を確認することもできた。なお、バッファ人口を含め駅の分布図を見ると、大阪、神戸、京都からそれほど離れていなくても鉄道路線が敷設されていないところが多い。都市化の推移に地形的要因も加味される必要があるだろう。

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