Interannual response of global NDVI for wetness, temperature, and radiation

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  • 全球植生指数の水分,温度,放射量に対する経年変化の反応

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1. はじめに: 世界の陸域における植生は気候条件によって強く支配されている. 2004年春季学術大会では衛星観測による植生指数と湿潤指数,温量指数との地理的分布の関係を2年の平均値を元に解析し,湿潤条件支配型植生と温量条件支配型植生の全球分布を示した (「前報」と呼ぶ).今回は多年平均値ではなく,10年間の経年変化の関係から,温度と水条件に対する植生指数の経年変化の反応を分析した.また新たに,光合成有効放射量(Photosynthetically Active Radiation : PAR) (0.4 – 0.7μm)も取り上げ,植生との経年変化の関係を評価した.<BR> 2. データと解析方法: 解析は全陸域を覆う1×1度のグリッドセルをベースに行った.すべての解析は10年間(1986から1995年)の経年変化を元に行った.植生指数: 植生指数データは千葉大学によって作成された「Twenty-year global 4-minute AVHRR NDVI dataset」から得た.北半球では3月から9月まで,南半球では9月から3月までの各1×1度グリッドセルにおける季節平均の植生指数を計算した.湿潤指数,温量指数,PAR: 湿潤指数は各1×1度グリッドセルについて可能蒸発量に対する降水量の比(P/Ep)で計算する.温量指数は月平均気温のうち5oCを超えた部分を年間積算して求める.実際の計算にあたり,可能蒸発散量はISLSCP (International Satellite Land Surface Climatology Project) Initiative IIのデータを用いて推定した.降水量はNCEP (National Centers for Environmental Prediction)の再解析データによる6時間値をGPCC (Global Precipitation Climatology Centre)による月別降水量でキャリブレーションした値を用いた.温量指数の計算にはISLSCP Initiative IIの気温データを用いた.PARもISLSCP Initiative IIから月別値を得た.<BR> 3. 結果: 陸上の各グリッドセルにおいて,植生指数と三つの気候量(湿潤指数,温量指数,PAR)の10年間経年変化の相関係数を計算した.有意水準を高めるため,1度グリッドを4つ集め(2×2度),全部でサンプル数を40として計算した.各2×2度グリッドで[植生指数 vs. 湿潤指数],[植生指数 vs. 温量指数],[植生指数 vs. PAR]の相関係数のうちどれが最も正で大きいかを図1に示した.ユーラシアの北緯60度以北,北アメリカの北緯50度以北,標高の高い地域では植生指数と温量指数の相関が最も高い.一方,その他の地域ではおおかた湿潤指数との相関が最も高いことがわかる.この結果は,経年変化を考慮せずそれぞれの分布のみで分析した前報の結果とほぼ一致する.植生指数とPARとの相関が一番高くなるグリッドは熱帯地域やシベリア西部,沿岸地帯に多く認められるが,全体的にはその数は少なかった.PARと植生指数は共に雲量の影響を受けるなど,データとしての問題も考えられ,今後のさらなる検討が必要である.

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680669909760
  • NII Article ID
    130007016023
  • DOI
    10.14866/ajg.2006f.0.19.0
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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