扇状地の勾配とそれを決める要因
書誌事項
- タイトル別名
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- Gradient of alluvial fans in Japan and their controlling factors.
説明
1. 研究の目的と概要<br><br> 扇状地の勾配と、その扇状地を形成する河川の流量や上流の地形・地質とは、相関があるはずである。河川流量との関係では、流量が多くなればなるほど運搬力は大きくなり緩やかな扇状地が形成されることが期待される。また流域の地形と地質によって、河川に供給される砂礫の量や粒径が変わり、それによって河川の勾配が影響を受けると考えられる。<br><br> 本研究では、DEMによる地形計測によって扇頂付近における流域面積を求め、最寄りの流量観測所の比流量を用いて、扇状地河川の流量を推定する。またDEMによって確定した流域について、卓越する地質をもとめ、種々の地形特性値を集計した。これらの流域特性データと扇状地勾配との相関について分析し、考察を行った。<br><br><br><br>2. 使用データと処理方法<br><br> 扇状地勾配は斉藤(1988など)のデータを用い、扇頂の位置や流域面積は斉藤のデータを元に1km解像度流域面積図上で測定した。河川流量は、地形形成作用との高い相関を期待してその頻度と強度を考慮しつつ、1980年から1999年までの20年間の流量年表で、それぞれの流量観測所における20年間のデータのうち3番目に大きい年間最大比流量を用いて、算出した。この値は7年に1回くらい起こる洪水流量に相当する。<br><br> 上流山地の地形の険しさを示す平均斜面傾斜、流域起伏数、最頻勾配等は50m-DEMから計算した。上流卓越地質は数値地質図(旧地質調査所、250m-解像度)を使用し、これらの解像度をすべて1kmに変換・統一した上で使用した。<br><br> 1km-流域面積図上で扇頂の位置を確認し、流路を逆にたどるプログラムを用いて流域を確定し、流域ラベル図を作成した。各流域は定性的特性として、水文気候区と卓越地質(区分)をもつ。地質区分は、堆積岩、付加体・深成岩・変成岩、第三紀火山岩、第四紀火山岩とした(旧地質調査所ラスタ型地質データ)。流域の水文気候区は野上(1990)の結果を参考に、積雪融雪型と台風梅雨型に大きく分けた。<br><br> 上流卓越地質は数値地質図を流域ラベル図でマスク集計し、それぞれの流域で最も広く分布している地質区分とした。地形特性は50m-DEMで計測したものを、1kmメッシュごとに、平均値・最頻値などによって集約し、さらに流域ごとの値を平均値で求めた。<br><br><br><br>3. 結果<br><br> 扇状地の勾配、流量、流域面積、流域の種々の地形特性などは定量的データとして得られる。流域面積、河川流量、上流山地の平均斜面傾斜、流域起伏数、最頻勾配などを説明変数とし、扇状地の勾配を被説明変数とする分析を行った。分析はそれぞれ気候水文と卓越地質の組み合わせごとに行った。散布図、回帰曲線の傾き・誤差など回帰分析の統計量を用いて、扇状地の勾配とそれを支配する因子に関する分析結果を報告する。<br><br><br><br>4. 文献<br><br>斉藤享治(1988)『日本の扇状地』古今書院,280ページ.<br><br>野上道男(1990):暖かさの指数と流域蒸発散量 _-_気候値メッシュデータによる解析_-_.地学雑誌,99,682-694.<br>
収録刊行物
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- 日本地理学会発表要旨集
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日本地理学会発表要旨集 2004s (0), 94-94, 2004
公益社団法人 日本地理学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680670210432
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- NII論文ID
- 130007016465
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可