超音波分光分析法を用いた食品タンパク質の可溶性凝集体形成のモニタリング

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タイトル別名
  • Real-time monitoring of heat-induced soluble aggregate of beta-LG or OVA in 0.1M NaCl using ultrasonic spectroscopy and blue native PAGE.
  • ―乳β-ラクトグロブリン及び卵白アルブミンの場合―
  • In the case of beta-LG or OVA

抄録

<br><br>【目的】タンパク質性食品の加工特性を制御する上でその加熱誘導ゲル形成性は重要であるが、今回はβ-ラクトグロブリン(β-LG)及び卵白アルブミン(OVA)を試料とし、超音波分光分析(US)並びにブルーネイティブ-PAGE(BN-PAGE)を用い一連のゲル化過程の初期段階、即ち可溶性凝集体の形成について調べた。<br>【方法】2.5 % (w/v) タンパク質溶液を 0.1M NaCl に溶解、温度上昇に伴う粒子サイズの変化を、超音波減衰値を指標に解析した。次にUSを用い加熱・冷却過程で、一部を分取しBN-PAGEに供した。<br>【結果】用いたタンパク質は変性に先立ち、モルテングロビュール状態を経る事、又β-LGではネイティブ状態でダイマー、温和な処理でモノマーになる事が報告されているが、USの結果、25℃での測定開始時では粒径は220~250nmであり、これは、既報によるβ-LGのモノマー粒子の平均的な直径(55 nm)の4~5倍である事を示唆した。その後モノマーに近いサイズまで小さくなったが、60℃以降その粒子径は一時的に上昇に転じた。分取試料のBN-PAGEの結果、70℃付近以降、分子量100万程度の高分子量会合体が観察された。本実験は通常のゲル化濃度(5%程度)より低いが、本実験を通して、既報の50℃以下で観察されるタンパク質のモノマー化及び60℃付近での小さな凝集体をモニターする事ができた。更に、95℃で保持後の冷却過程において40℃付近で320~350 nmに達し、それ以降は減衰が大きく粒径の算出ができなった。以上、加熱誘導ゲルと呼ばれるタンパク質のゲル形成過程においてもその凝集体形成での冷却過程の重要性が示唆された。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680670472192
  • NII論文ID
    130005489768
  • DOI
    10.11402/ajscs.27.0_69
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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