三重大COP10学生実行委員会の活動

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書誌事項

タイトル別名
  • Activities of Mie University Student Committee for COP10
  • 生物多様性の保全と人材の育成を目指して

抄録

三重大学では、これまで、環境ISO 学生委員会を中心に、学 生主体の様々な生物多様性保全活動を行ってきた。例えば、キ ャンパスパークプロジェクトの一環として行われてきた「落ち 葉コンポスト」や「緑のカーテン」づくり、企業・行政・市民 等様々なセクターと共同して行ってきた「町屋海岸清掃」、「環 境学習」の実施等が挙げられる。こうした学生主体の活動を進 めることで、学生にとって「生物多様性」というテーマがより 身近なるだけでなく、さらに学生一人一人が各々で「気付き」 や「発見」をすることが可能となる。また、こうした活動を通 して、活動を行っていない学生や、周辺地域の住民の意識改革 にも貢献している。<BR> また、今年の7 月には、名古屋で開催される生物多様性条約 第10 回締約国会議(COP10)にむけて、COP10 学生実行委員会が 発足された。環境ISO 学生委員会の学生と、募集によって集ま った学生によって構成されている。参加者には「国際環境イン ターンシップ」の単位が与えられる。このCOP10 学生実行委員 会では、学外に情報発信を行う「情報発信班」、COP10 の会場に 出展するブースの企画・作成・運営を行う「ブース班」、学外か ら情報を収集し研究を行う「研究・情報収集班」の3つの班に 分かれ、班ごとにCOP10 に向けて活動を行っている。しかし、 それぞれの班が各々に活動しつつも、班同士情報交換を行った り、共に勉強会を開いたりするなど、連携することによって、 全体でのレベルの向上を目指している。また、世代交代や持続 可能性をも視野に入れ、学年間の関係構築や、先輩から後輩へ の知識やノウハウの伝達も重要視し活動を行っている。<BR> 我々、COP10 学生実行委員会のメンバーは、COP10 開催期間中、 世界各国のユースや子供たちとともに「アジア・太平洋こども &ユース生物多様性伊勢湾環境学習」やエクスカーションに参 加したり、COP10 会場にブースを出展したり、実際にオブザーバ ーとしてCOP10 の会議場内の見学を行ったりすることを予定し ている。さらに、三重大学においてアジア・太平洋大学環境コ ンソーシアム国際環境教育シンポジウムも開かれる。<BR> まず、「アジア・太平洋こども&ユース生物多様性伊勢湾環境 学習」では、世界各国からの参加者と日本の小学生約と共に、 三重大学の所有する実習船“勢水丸”に乗船し、海洋の生物・ 浮遊物の採取や、プランクトン調査を行うことによって、“海洋” の生物多様性について学ぶ。<BR> 一方、エクスカーションでは、海外からの参加者とともに亀 山市にある「里山公園みちくさ公園」に行き、餅つきや工作な ど、実際に里山の生活を体験することによって、日本の誇れる 伝統的な生物多様性保全のモデルといっても過言ではない、“里 山”の生物多様性を感じ、学ぶ。さらに、エクスカーションで はシャープや関宿、鳥羽水族館、ミキモト真珠島への見学にも 行く予定である。<BR> こうしたエクスカーションや様々な体験を、世界各国の参加 者たちと共に経験することにより、生物多様性を実際に感じ、 学ぶことができる。それによって、より生物多様性への理解が 深まることであろう。さらに、海外からの参加者との交流を通 じて視野が広がり、かつ日本や世界の現状に目を向けるきっか けとなるだろう。<BR> 次に、三重大学で開催される「アジア・太平洋大学環境コン ソーシアム国際環境教育シンポジウム」では、COP10 学生実行委 員会の学生は、アジア・太平洋地域のユースと共に、日本語・ 英語の二ヶ国語で環境宣言文の作成・採択を目指し、話し合い を行う。<BR> そして、会議場のある白鳥会場では、会期中、三重大学のブ ースの出展を行う。このブースでは、市民や世界各国からの会 議参加者たちにむけて、三重大学で行われている生物多様性に 関する研究や活動についての情報発信を行うとともに、市民や 会議参加者との情報交換も行う。<BR> こうした生物多様性の保全につながる様々な活動を通して、 COP10 学生実行委員会からは、国際的な視野を持ち、かつ現代の 多様化・複雑化した様々な問題に対応しうる、高いコミュニケ ーション能力や問題処理能力、集団創造力を持った、社会から 必要とされる人材が生まれることを目指している。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680670537472
  • NII論文ID
    130007016725
  • DOI
    10.14866/ajg.2010f.0.175.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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