大学環境サークルによる生物多様性の調査

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Kameppuri's research report
  • 三重大ウミガメ・スナメリ調査保全サークルかめっぷり活動報告

抄録

1.はじめに<BR> 当サークルは2000年に設立された学生サークルである。三重県北中部において、アカウミガメの上陸、産卵調査およびウミガメ類(アカウミガメ・アオウミガメ他)・スナメリのストランディング(死亡漂着)個体調査を行っている。また、調査結果をもとにシンポジウムでの発表や、地域イベントでの講義、小学校への出前授業などの活動も行っている。 <BR> 2.主な調査対象生物 <BR> ・アカウミガメ:Caretta Caretta/Loggerhead Turtle  最大で甲長100_cm_、体重100_kg_になり、本州で産卵する唯一のウミガメである。食性は動物食の強い雑食であり、そのため顎が発達しており頭が大きいのが特徴である。三重県北中部では6月~8月に産卵する。孵化した子ガメは北太平洋海流に乗り1~2年かけてメキシコ湾に渡り、甲長60_cm_ほどまで成長した後に1~2年かけて日本に戻ってくる。なお、太平洋における産卵地は日本のみである。 <BR> ・スナメリ:Neophocaena phocaenoides/ Finless porpoise 沿岸性の小型鯨類で、体色は灰色、体長は約160_cm_~190_cm_である。背びれがなく、代わりにキールと呼ばれる多数の小突起を持つ隆起がある。日本では仙台湾~東京湾、伊勢・三河湾、瀬戸内海~響灘、大村湾、有明海~橘湾の5海域のしか生息していない。なお,それらの海域のスナメリは異なるDNAを持つ個体群であり,別の海域との交流はない。伊勢湾では春先~初夏が出産期で、その時期には多くのストランディングが確認されている。 <BR> 3.調査地・調査方法<BR> 調査範囲は(2009年度現在)で鼓ヶ浦海岸・マリーナ海岸・芦原海岸・白塚海岸・町屋海岸・贄崎海岸・阿漕浦海岸・御殿場海岸の8地点であり,総距離は約18kmにもなる。各浜を週1回歩き、ウミガメの上陸跡やストランディング個体を探している。また、地域住民や他の団体から報告を受けることもある。  <BR> ウミガメの産卵跡を発見した場合、産卵の有無を確認し、産卵があった場合は保護ネットと保護啓発看板を設置する。また、足跡の幅やボディピットの計測も行う。孵化後は産卵巣を掘り返し、孵化率調査を行っている。孵化までの期間に台風の接近などで産卵巣が浸水する危険性があれば、産卵巣から卵を移植することもある。  <BR> ウミガメ類・スナメリのストランディング個体を発見した場合は各所計側をし、解剖を行い性判別や消化管内容物の観察、サンプル採取などを行っている。ウミガメに関してはNPO日本ウミガメ協議会へ、スナメリに関しては三重大学魚類増殖学研究室を通し水産庁・鯨類研究所に報告している。 <BR> 4. さいごに <BR> 当サークルは情報提供や調査を手伝っていただいている、地域の方、行政、大学関係者、各調査研究団体の支援・指導の下成り立っている。今後も調査・保護啓発活動をつづけ、多くの方に自然環境や生物について興味を持っていただけるよう努力したい。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680670538496
  • NII論文ID
    130007016726
  • DOI
    10.14866/ajg.2010f.0.174.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ