魚肉すり身のゲル形成性と嚥下調整食への利用

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タイトル別名
  • Gel formation of fish surimi and its practical use for texture-modified foods
  • 魚肉すり身ゲルの物性と官能評価、嚥下食献立への展開
  • Physical properties and sensory evaluation of fish surimi gels and the menu

抄録

【目的】魚肉は栄養的価値の高い食品であるが、筋原線維構造が脆弱なため、加熱により食塊としてまとまりにくく、咀嚼・嚥下困難者にとっては食べ難い食感を呈する。そこで、嚥下調整食に高圧力を利用することを意図し、魚肉すり身の加圧ゲル形成性を検討した。調製した魚肉すり身の加圧ゲルの物性を測定し、咀嚼、嚥下状況を調べ、加熱ゲルと比較した。また、摂食・嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類2013(以下、学会分類2013)への対応を検討し、献立への展開を試みた。【方法】実験試料はアジフィレーをミキサーですり身にし、すり身と水の混合割合は1:0.5、1:1、1:1.5とした。1.5%NaClを添加後、加熱処理(沸騰水溶中で中心温度80℃に達するまでの10min)または加圧処理(400 MPa 20min)を行い、ゲルを調製した。ゲルの物性は、クリープメータで破断強度試験、クリープ試験、テクスチャー試験を行った。官能評価は評点尺度法で行った。嚥下造影検査はS医科大学病院リハビリテーション科で実施した。【結果および考察】加熱処理ゲルのかたさは0.97~2.83[×104N/m2]、加圧処理ゲルでは2.25~10.03[×104N/m2]であった。魚肉ゲルの物性および嚥下状況から、学会分類2013の1、3、4に該当した。加熱ゲルは加圧ゲルよりも軟らかく、舌で押し潰しやすいため、咀嚼困難者への適用が考えられた。一方、加圧ゲルは適度な弾力があり、なめらかな食感であることから嚥下困難者への適用が示唆された。魚肉すり身ゲルの加水量や副材料の添加によって個々人に対応した食形態、嗜好性への対応が可能となり、嚥下調整食献立への展開が期待される。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680670539520
  • NII論文ID
    130005481342
  • DOI
    10.11402/ajscs.26.0_185
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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