Changes in active layer and vegetation under wet climate in Eastern Siberia
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- Iijima Yoshihiro
- Research Institute for Global Change, JAMSTEC
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- Fedorov Alexsonder
- Permafrost Institute, Siberian Brunch of Russian Academy of Science
Bibliographic Information
- Other Title
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- 東シベリアの気候湿潤化による永久凍土活動層と植生の変化
Description
I.はじめに<BR> 永久凍土が広く分布する東シベリア・レナ川中流域では,2004年冬以降,冬季の積雪と夏季の降水が大きく増加する湿潤的な気候が継続し,その結果,活動層内の土壌水分の大幅な増加と永久凍土表層にかけての地温上昇が同時的に進行している(Iijima et al. PPP, in press).この地温上昇と土壌湿潤化がどのような空間的広がりを持ち,陸面の地形や植生の変化へ影響が及んでいるかを明らかにすることは,北極域の急激な気候変動下における陸面の熱・水・物質循環の変動を考える上で非常に重要である.<BR> 本研究では,東シベリア・ヤクーツク近郊のカラマツ林で実施した気象観測,土壌・植生の現地調査に基づき,活動層厚の変化とその上の植生変化の実態を報告する.<BR><BR> II.研究地域と観測調査内容<BR> 観測サイトは,レナ川中流に位置する,スパスカヤパッド(Spasskaya Pad)実験林内である.上層木はカラマツである.下層植生はコケモモを主としていたが,近年耐湿性の草本が多く侵入してきている. 1996 年に境界層タワーが設置され各種気象要素・乱流フラックスが計測されているほか,2006年以降はGranier法によるカラマツの樹液流速が計測されている.本研究では,2008年10月に4m深の地温と1.4m深の土壌水分(EnvironSMART)の鉛直分布の測定を開始した.また,2009年9月にカラマツ林の50x50mの調査区内で活動層厚分布を測定した.<BR><BR> III.結果<BR> 図1にスパスカヤパッド実験林のカラマツ林観測地点における1年間(2008年10月~2009年9月)の土壌水分と地温の時間-鉛直断面を示す.2008年10月の融解深(活動層厚)は2m近くに達し,2009年9月には2m以深が0℃を超えている.活動層内の土壌水分は秋に高い状態のまま凍結し,翌年の春に引き継がれている.特に0.5mより深い層では,土壌間隙にも水が充填される湛水状態が年間継続している.また,土壌水分量が多いことにより,活動層全体が凍結するのに要する期間は長期化し,1.6m深では1月下旬まで達している.そのため,活動層下の永久凍土層へ冷却が及ぶ期間は2~4月に限られている.<BR> 図2はカラマツ林の活動層厚分布と,カラマツの分布を示す.この調査区は南から北に緩やかに傾斜する斜面上にあり,南側ほど活動層が薄い.さらに微地形の凹地に対応して,調査区中央部で最も活動層が厚く1.8mに達している.調査区周辺では土壌水分増加と地温上昇が始まった2005年以降から2-3年経過して葉の変色や,葉をつけないカラマツ個体が現れ始めている.2006年以降の樹液流の測定と展葉状態の観察から,調査区内で生長を停止し,枯死状態にあるカラマツは南西から北東にかけて現れており,活動層が厚い(かつ土壌水分量が多い)部分と良く一致した.また,枯死個体は樹高15m以上の樹冠を構成する大径木に集中していた.これらの個体は,根圏が低木よりも深く,通年湛水している層に達しているため,根の生育阻害を受けている可能性が考えられる.<BR>
Journal
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- Proceedings of the General Meeting of the Association of Japanese Geographers
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Proceedings of the General Meeting of the Association of Japanese Geographers 2010s (0), 228-228, 2010
The Association of Japanese Geographers
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680670641792
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- NII Article ID
- 130007016910
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- CiNii Articles
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- Abstract License Flag
- Disallowed