鹿児島県薩摩川内市下甑手打地域の郷土料理と食生活

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タイトル別名
  • Dietetic life and traditional local cuisines in teuchi area in shimokoshiki, satsuma-sendai,kagoshima

抄録

【目的】甑島列島は,薩摩川内市川内川河口から約30km西方の東シナ海上に位置し,北東から南西方向にかけて上甑・中甑・下甑の3島が連なっている。調査地域の手打は下甑の中心で水産業が主である。交通の便が悪く地域間の交流が少ない中での生活が独自の生活文化を育み,郷土料理や行事食などを持っている。高等教育機関がないために島立を余儀なくされ,若物層が少なく高齢化が進んでいる。外食産業の影響を受け、伝統的な食文化の継承が懸念されている中で、貴重な家庭料理を次世代に伝える必要性があることから本調査を行った。 【方法】平成20~23年の8月下旬から9月上旬にかけて行った「こしきアイランドキャンパス事業」の中で,生活研究グループの協力を得て郷土料理や行事食の実習を行い,地域住民に対しては自記式アンケート調査を行った。また日本調理科学会特別研究ガイドラインに基づき聞き書き調査を行った。 【結果】島民は海や山の幸,少ない耕地を利用して野菜などを作り,独自の食文化を築いてきた。四季折々の旬の食材や山菜料理,コッパやつわの干物などの保存食も大切にし,素朴な中にもしっかりした行事食や冠婚葬祭の通過儀礼なども受け継がれている。魚は良いものは売って換金し,売れないものは家庭内で使い,保存食とした。ハレの日には刺身を中心に,すす(混ぜずし)や手打ちかまぼこ(色付けすり身と昆布を用いて季節の花などをアレンジしたかまぼこ),ひら(煮しめ)やぼた(ぼたもち)等をつくって祝った。普段の郷土料理にもきびなごの塩からげやきびなごのなます,のびるの酢味噌和え,しんびらびいの和え物,アザミの佃煮など身近な魚介類や山野草などを利用したユニークなものが多い。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680670793216
  • NII論文ID
    130005264233
  • DOI
    10.11402/ajscs.28.0_126
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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