御嶽山噴火(140927)後の周辺水環境に関する研究(5)

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • A study on the water environment of around Mt.Ontake after eruption (140927) (5)

抄録

Ⅰ はじめに<br>   長野県と岐阜県の境に位置する御嶽山が、2014年9月27日午前11時53分頃に水蒸気爆発噴火し、この時発生した火山噴出物が、山頂付近の湖沼や周辺河川に影響を与えたことが考えられる。そこで、以前の噴火時を含む過去の御嶽山周辺の水質との比較をし、今回の噴火による水質の変化を把握することを試みた。<br>   2016年秋季大会では2016年8月までの結果を報告したが、今回は、2014年10月~2016年10月のデータを中心に、2017年2月までの結果について報告する。<br><br>Ⅱ 研究方法<br>   調査は月1回の間隔で実施し、現地調査項目はAT, WT,<br>pH, RpH, EC等で、同時に採水も行い、雨水採取を16箇所で実施している。持ち帰ったサンプルは研究室にて処理したのち、TOC、主要溶存成分の分析を行なった。<br><br>Ⅲ 結果と考察<br>11979年噴火との比較<br>   1979年に発生した噴火の約一月後の水質調査結果と、今回の噴火の約一月後の結果を比較すると、降灰地域がほとんど同じであることも影響して、非常に似通った水質の空間分布を示し、水質組成もほぼ一致した。<br><br>2噴火直後~冬季積雪期<br>   火山噴出物の影響を強く受けた濁川と濁川合流後の王滝川では、電気伝導度の値が次第に下がり、pHは上がって、1月末には安定した値を示した。しかし、御岳湖では、全循環期の影響を受け湖水全体に濁水が広がり、放水により下流でECが上がりpHが下がる現象が観測された。<br><br>3.融雪期<br>   融雪の影響は2月から現れ始め、4月末にピークに達した。基本的には、ECの値が下がり融雪による希釈傾向を示したが、pHでも同様の傾向を示したのは、火山噴出物よりも融雪水の低pHが影響したものと考えられる。<br><br>4.融雪期後~梅雨期<br>   5月末には融雪の影響がほとんどなくなり、6月は梅雨の影響で、改めて火山噴出物が流入してECが上昇し、pHが低下する地点が多かった。<br><br>5.夏期~秋期<br>   台風の影響で、堆積した火山灰が流出し周辺河川の水質に大きな影響を与えたが、10月末には安定した。11月には、河川水の水質への地下水の性質の影響が観測された。<br><br>6.冬季積雪期~秋期(2年目)<br>   噴火から2度目の冬季を迎えたが、積雪量が少なく、融雪のピークは2月末であった。水質への影響は1度目の融雪期と同様、融雪による希釈傾向が表れていた。6月は梅雨の影響で、特に濁川に火山噴出物の影響が表れていた。<br>   夏期~秋期には1年目と同様、台風による降雨で火山噴出物の影響が見られたが、やはり10月末には安定した。<br><br>Ⅳ おわりに<br>   御嶽山周辺地域の水環境に対する今回の噴火の影響について、2年間を超える調査結果を示すことができた。調査を継続するとともに、今後の変化予測を行いたい。<br><br>参 考 文 献<br>   小寺浩二・浅見和希・齋藤圭・濱侃(2016):御嶽山噴火(140927)後の周辺水環境に関する研究(4), 日本地理学会2016年度秋季学術大会講演要旨集.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680671154816
  • NII論文ID
    130005635652
  • DOI
    10.14866/ajg.2017s.0_100107
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ