Caldera and Ignimbrite landscapes in The North Island of New Zealand and southern Kyushu of Japan in the light of tourist resources

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  • ニュージーランド北島と南九州のカルデラと火砕流台地地形-観光資源としての視点から-

Description

<br><br>はじめに: 地形は観光やジオパークの資源として,重要な役割を果たしている.火山地形もその中の重要な一つである.ここで検討するニュージーランド(NZ)北島のタウポ火山帯と南九州の火山地域はきわめてよく似た火山景観を持ち,ともに観光資源として利用されてきた.タウポ火山帯では,世界自然遺産であるトンガリロ火山群,南九州では,日本ジオパークの霧島火山や桜島火山がよく知られているところである.これらは,いずれも美しく,壮大で見栄えのいい「正の火山」であるが,突出した山を持たないカルデラと,これを給原として突出した噴火規模によって形成された広大な火砕流台地は,様々な魅力ある地形を持ち,観光資源として高く評価すべき地形である.<br>両地域は,多数の巨大カルデラが分布し,ここを給原とする多数の巨大火砕流噴火が生じ,多数の火砕流堆積物が累積している点と,そのうちの最新の噴火がともに最終氷期最盛期頃で,これが広大な火砕流台地地形を形成しているという点でよく類似する.すなわちNZ北島にはタウポカルデラの2.5万年前のオルアヌイ/カワカワ噴火,南九州には姶良カルデラの3万年前の入戸火砕流噴火による火砕流台地(「シラス台地」)が広く分布する.いずれも,カルデラ周辺数十キロメートルにわたって,厚い火砕流堆積物からなる台地を形成している.<br>観光資源,ジオパークなど,地域活用としてのカルデラ・火砕流台地への主要な関心は,こうした地形から知られる噴火の様子と災害などが主であるが,火砕流台地に関わるテーマは,そうした噴火に関わる問題から,地形・地質,人々との関わりなど,多岐に及び,それぞれが観光資源としての可能性をもっている.ここでは,ニュージーランド北島と南九州において,噴火規模・年代の類似したカルデラと火砕流台地でみられる特徴的な地形景観について,特に台地形成前後の地形変化に注目して比較検討し,観光資源としての可能性を考える.<br>方法:現地観察に加えて,NZでは,Land<br>Information New Zealand (LINZ)による等高線の数値地図データを,南九州では,基本的には2.5万分の1数値地図を主に使用し,その等高線の解析からカルデラ,火砕流台地でみられる特徴的な地形を抽出し,現地観察によって確認した.<br>ニュージーランド北島,タウポカルデラとカワカワ/オルアヌイ火砕流台地: タウポカルデラはタウポ火山帯でもっとも活動的なカルデラの一つである.その地形的範囲はカルデラ縁が南九州のカルデラほど明瞭でないために,この火砕流台地の水系は,カルデラの範囲外においても全体として火山帯の地溝の長軸方向,または凹地となっているカルデラ方向に流域を持ち,火山帯の全体の構造に支配されている.この火砕流台地には多数の風隙,河川争奪の特徴的な地形がみられる.これまで,この火砕流流下に伴うワイカト川中流部の大規模な河道変遷が知られている.ここで注目したタウポカルデラ東方のカインガロア台地と東側の山地流域との間には,火砕流台地と関係したいくつかの風隙が認められる.カワカワ/オルアヌイ噴火の前後でいくつかの河道変化が起こったことを示す.<br>南九州,姶良カルデラと入戸火砕流台地: 入戸火砕流台地(「シラス台地」)にも多くの風隙,河川争奪地形が存在する.こうした地形は入戸火砕流堆積前と堆積後には河道変化があったことを示し,全体として大規模な地形変化が生じてきたことがわかる.これまでの研究では堆積前と堆積後の河道の位置は同一河谷をとるとされているが,ここでの結果は,こうした先行研究に必ずしも当てはまらない例があることを示す.ここでは,姶良カルデラ南東の火砕流台地などの地形からそうした例を明らかにする.さらに,火砕流噴火前後の河道変化を示す地形とその分布を検討する. <br>まとめ: NZ北島と南九州においてみられる噴火規模・年代のよく似たカルデラと火砕流台地には,風隙,河川争奪地形などの特徴的な地形が存在し,巨大火砕流の噴火・運搬・堆積・侵食過程においていくつかの類似した特徴をもつ.こうした地形は,観光・教育資源として高く評価すべき地形であると考える.

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680671635712
  • NII Article ID
    130007017621
  • DOI
    10.14866/ajg.2016s.0_100057
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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