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Current status of the glacier lake outburst flood in Ladakh Range, Indian Himalayas
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- Narama Chiyuki
- RIHN
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- Tadono Takeo
- JAXA
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- Ikeda Naho
- NIED
Bibliographic Information
- Other Title
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- インド・ヒマラヤ,ラダーク山脈の氷河湖決壊洪水の現状
Description
1 はじめに<BR> ヒマラヤ東部地域(ネパール東部~ブータン)では,近年の気候変化の影響により山岳氷河の縮小が報告されている.この氷河の縮小に伴い,氷河湖が1950~1970年代より拡大しはじめ,10年に1~2度の割合で氷河湖決壊洪水(glacier lake outburst flood: GLOF)が生じている.最近では,1994年10月にブータン北部ルナナ地域のルゲ湖(1.16km2)が決壊し,90km下流のプナカ・ゾン(歴史的建造物)が破壊され,21人の犠牲者がでている.ヒマラヤ東部地域のツォ・ロルパ(0.98km2),イムジャ氷河湖(0.95km2),トルトルミ氷河湖(0.85km2),ラフストレン氷河湖(1.23km2)など決壊の危険が高いと考えられている氷河湖では,モニタリングやアセスメントなどの国際的な取組みがおこなわれている.<BR> このような国際的な取り組みや関心は,災害の規模から巨大な氷河湖に焦点が置かれがちだが,中央アジアやアンデスの山岳地域のように小規模な氷河湖の決壊洪水により局地的な被害に遭う地域もある.中央アジアの天山山脈では,1960~1970年代に0.01-0.05km2規模の氷河湖が決壊し,下流域で多数の犠牲者がでている.本研究では,インド北西部のジャンム・カシミール州のラダーク山脈,ドムカル(Domkhar)谷において,氷河湖の分布,氷河湖の発達履歴,氷河湖の状態,過去の氷河湖決壊洪水を,衛星画像解析と2010年6月と9月の現地調査から調べ,この地域の氷河湖の現状を明らかにしたので報告する.<BR><BR> 2 方法<BR> ALOS PRISM/AVNIR-2(2009年11月2日撮影)の衛星画像をもとに,現在のDomkhar谷の氷河湖の分布を確認した.氷河前面にある0.001km2以上の氷河湖を対象に,ArcGIS 9.3上でマニュアルによるデジタイジングで氷河湖のポリゴンデータを取得した.1980年以降の氷河湖の拡大履歴を調べるため,Hexagon KH-9(1980年9月16日撮影),JERS-1(1994年7月27日撮影),Landsat 7 ETM+(2000年9月4日),SPOT4(2003年11月1日),ASTER(2006年10月7日),ALOS PRISM/AVNIR-2(2007年10月28日,2009年11月2日,2010年7月19日)の衛星画像を用いた.Nagrakagsa谷とGongpa-Rangchong谷に分布する5つの氷河湖(No.3,4,5,7,8)で現地調査をおこなった.調査内容は,湖盆図調査,モレーンの地形観察,GPS測量,聞き取り調査である.取得した魚探データ(緯度経度,水深)を用いてArcGIS 9.3で湖盆図を作成し,湖水量を算出した. <BR><BR> 3 結果と考察<BR> Domkhar谷上流部には,32の小規模なC型氷河(氷河表面がデブリで覆われていない氷河;0.008km2-1.2km2)とモレーンで堰き止められた11の氷河湖(0.003km2-0.096km2)が存在する.これら氷河面積は1994~2009年の約15年間で約3%消失した.11の氷河湖の拡大履歴をみると,3つは1980年以降拡大を続けており,3つは急激に面積を減少させ,残りはほとんど変化していない.Domkhar谷で最大の氷河湖(0.096km2)の拡大速度は,0.013km2/year(1980~2000年)と0.033km2/year(2000~2010年)であり,2000年以降拡大速度が大きくなっている.Domkhar谷で5つの氷河湖を現地調査した結果,最大水深40mほどの氷河湖が2つあり,湖水量は約1,112,000m3と427,000m3であった.<BR> Domkhar谷における過去の氷河湖決壊洪水を衛星画像解析により調べたところ,2000年以降に小規模な決壊が4回生じていた.Gongpa-Rangchong谷の下流域には土石流堆積物が広域で見られるが,この堆積物は2003年7月9-10日に生じた氷河湖決壊洪水によるものであった.この時決壊した氷河湖は小規模であったが,生じた氷河湖決壊洪水により下流域に土石流堆積物を堆積させ,Domkhar-Gongma村で橋,水車場,畑などを破壊した.聞き取り調査と当時の写真から,この氷河湖の決壊要因は,氷河湖を堰きとめるアイスコアードモレーン内部に発達したアイストンネルの開通によるものであった.Gongpa-Rangchong谷の上流部にある氷河湖(427,000m3)では,湖を堰き止めるモレーン内部に発達するアイストンネルを確認している.
Journal
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- Proceedings of the General Meeting of the Association of Japanese Geographers
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Proceedings of the General Meeting of the Association of Japanese Geographers 2011s (0), 220-220, 2011
The Association of Japanese Geographers
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Keywords
Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680671883136
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- NII Article ID
- 130007017765
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- CiNii Articles
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- Abstract License Flag
- Disallowed