出雲国風土記と距離尺度換算率

書誌事項

タイトル別名
  • Distance unit and its conversion ratio in the Izumo Fudoki, written in the 8th century

説明

中国古代「尺」は字源の通り、親指と人差指を(直角に)広げたときの長さ(約16cm)で殷周・春秋時代とされる.魏志東夷伝で使われた魏の短里(倭里と仮称)は1里(約67m)=50歩で、普通の1里=300歩とは6倍の違いがある.古韓尺(約26.7cm)は韓国・日本の古墳や古代建築の寸法についての統計学的推定に基づいて新井宏氏が提唱している尺度である.天平尺は唐尺が導入された律令時代のもので、1里=300歩=約535mである.髙麗尺は地理学者藤田元春氏に依るが、現在の計量史学では存在が疑われている.1里300歩と1里360歩の換算の狭間に生じた計算間違いに起因する、日本だけの尺度かもしれない.江戸尺は曲尺である. 倭里=(1/6)魏里 古韓里=(6/5)魏里 天平里=8倭里 =(10/9)古韓里 倭尺 =(7/5)中国古代尺 古韓尺=(6/5)倭尺   天平尺=(8/6)倭尺 =(10/9)古韓尺=(98/100)曲尺 高麗尺=(360/300)曲尺(江戸尺)尺度系の移行期には、簡単な整数比(分数)によって、新旧の距離尺度の換算が可能であった.なお古代の距離尺度はいずれも「倭尺」の簡単な整数比で表される. 換算に小数が使われることはなかった.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680672723328
  • NII論文ID
    130005457297
  • DOI
    10.14866/ajg.2013s.0_111
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ