Investigation into the actual situations of urban heat island observed by instrument screen in Nagano City and its observation accuracy.

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  • 長野市における百葉箱でのヒートアイランド現象の実態把握とその観測精度

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長野県環境保全研究所がは長野市の協力のもと,長野市内の小学校の百葉箱に温度計を設置して都市ヒートアイランド現象の実態把握を行っている(浜田ほか,2017).小学校の百葉箱での観測は,都市部に小学校が多数存在するので,比較的容易にヒートアイランド現象の実態把握を行いやすい利点がある一方で,百葉箱が校舎近くや樹木の下に設置されていることが多く,百葉箱のごく近傍の環境の影響を受けていると考えられる[HT1] . ヒートアイランド現象の主な原因は土地利用の違いである.そこで,長野市における都市中心部と郊外住宅地,農地の気温の差を,都市の気温を長野駅近くの中層建築物が密集している地域の「U:鍋屋田」,郊外の気温を農地と低層住宅が混交している地域の「S:朝陽」,農地の気温を水田に囲まれている「R:柳原」の気温を使用して示した(図1:観測点の位置図,図2:気温差の頻度分布図).気温差は2015年4月から2016年3月までの1年間の日々の度数分布として示しており,ヒートアイランド現象による気温差が最も顕著に表れる日最低気温の差を示した.「U:鍋屋田」と「S:朝陽」の差,「S:朝陽」と「R:柳原」の差の分布が両者とも0~2℃のところに頻度が集中しており,中層建築物密集地域と農住混交地域および農住混交地域と農地の気温差にそれほど大きな差が無いことがわかる. しかし,百葉箱のごく近傍の環境が異なっているので,その影響が気温差に含まれている可能性がある.観測点近傍の障害物の有無が気温に与える影響を定量的に評価する指標として「空間の広さ」がある(和田ほか,2016).空間の広さの違いにより,日中には最大1℃,夜間には0.4℃程度の違いが生じることが指摘されており,百葉箱のごく近傍の環境の違いが気温に影響を与えていると考えられる.したがって,観測点周辺の土地利用の差異に対応する気温差に対して,百葉箱のごく近傍の環境の差異による気温差が無視できないと考えられ,百葉箱のごく近傍の環境による気温への影響を正しく把握しないと,正確なヒートアイランド現象の実態把握ができない可能性が考えられる. 実際に図2の気温差に使用した観測点の百葉箱は,「U:鍋屋田」と「S:朝陽」では,校舎から1~5mほど離れた位置に百葉箱がある一方で,「R:柳原」は校舎から30m以上離れた場所に百葉箱が立地しており,百葉箱周辺の環境は異なっているため,図2の気温差が観測点周辺の土地利用の差異によるものと単純に解釈できないと考えられる. そこで,観測点のごく近傍の環境による気温の観測値の違いを検証することを目的として,旧更府小の校庭において5つの観測点を設置して自然通風式のシェルターで10分毎に気温観測を実施した.観測点のごく近傍の環境として,建物と樹木・樹冠の影響が大きいと考え,それらが異なる5つの観測点を設定した.5つの観測点の設定条件は以下の通りである(図3).①旧更府小の百葉箱に元々長野市のヒートアイランド現象の観測のための温度計を設置しているので,百葉箱の気温と自然通風式のシェルターの差を検証するために百葉箱から1mほど離れた場所でかつ校舎からの距離は同じ場所②校庭の中で最も空間の広さが広い校庭の中央付近,風向風速も同時に観測③ ①と②の中間で,校舎からの距離も中間になる場所④空間の広さが最も狭く,建物に最も近い場所⑤樹冠の下に百葉箱がある観測点も存在するので,樹冠の影響を見るために,校舎からの距離が③と同じ距離でかつ樹冠の下にある場所.学会では①から⑤と百葉箱の気温差を,観測点のごく近傍の環境の違いから考察した結果について発表する.

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390282680673395328
  • NII Article ID
    130006182709
  • DOI
    10.14866/ajg.2017a.0_100186
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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