ガソリンスタンド過疎地域の空間的分布と形成要因
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- 神谷 隆太
- 筑波大学大学院
書誌事項
- タイトル別名
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- Spatial Distribution and Factors of Declining Gas-station Service Activities
説明
1.研究背景<br> わが国では1960年以降のモータリゼーションの進展に伴い,ガソリンスタンド(以下,SSとする)の数が,1960年以降に急増した.増加は1994年まで続き,その数は約6万軒にのぼった.しかし1994年以降には減少の一途をたどっており,2010年には約4万軒にまで減少している.さらにモータリゼーションが進展したことによる公共交通機関の減便や路線廃止が加速しており,自動車の非所有者にとって更なる打撃となっている.このことからも,山村地域において自動車の有無が生活行動を左右するが,とくに遠隔地域では消防法の改正にともない,SSが更に減少し,日常生活における自動車利用は危機に瀕している.<br>2.研究目的<br> 以上の状況を踏まえ,本研究ではガソリンスタンド過疎地域(以下,SS過疎地とする)を研究対象とし,その分布や特徴を明らかにするとともに,その形成要因について解明することを目的とする.<br>3.研究方法<br> 分布の特定,分析には国土数値情報(2010)の燃料給油所データ,国勢調査(2007)を利用し,さらに全国各地のガソリン価格の聞き取り調査を行った.本研究におけるSS過疎地は,75㎢当たりのSS数が1軒以下,かつ道路延長距離240㎞当たりのSS数が1軒以下の市町村とした.そして分析の指標として,人口密度,人口増減,65歳以上の人口の割合,単身世帯率,1世帯の人数,1事業所当たりの従業員数,1㎢当たりの事業所数,就業者割合,第一次産業就業者割合,第三次産業就業者割合,道路延長距離/面積,1人当たりの自動車保有台数,レギュラーガソリン価格,傾斜が8°以下の面積割合の14の変数を用いた因子分析を施し,得られた因子得点行列をもとにクラスター分析をかけた.さらにSS過疎地でのフィールドワークによって,SSの過疎化が進行するプロセスについて調査した.<br>4.結果<br> SS過疎地は全国で124存在し,その多くを北海道が占めるが,越後山脈周辺,紀伊山地周辺,九州山地周辺にも多く分布していた.またクラスター分析の結果,SS過疎地は,1)過疎化が深刻でない農山漁村,2)アクセシビリティが高い農村,3)離島,4)過疎化が進行している山村,5)奈良県三宅町,の5つの類型に区分することができた.<br> SSの過疎化は人口減少や競合による需要減少によってもたらされた.SS過疎他では,他と比べてガソリン価格はかなり高い.
収録刊行物
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- 日本地理学会発表要旨集
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日本地理学会発表要旨集 2012s (0), 100108-, 2012
公益社団法人 日本地理学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680673567872
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- NII論文ID
- 130005457115
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可