カルニチンの生体作用 : カルニチン欠損マウスを用いた解析から(ビタミン類縁化合物に関する最近の研究)

  • 佐伯 武頼
    鹿児島大学大学院医歯学総合研究科分子病態生化学

書誌事項

タイトル別名
  • Bio-Function of Carnitine - Consideration from Analysis of Carnitine-Deficient Mice
  • カルニチンの生体作用--カルニチン欠損マウスを用いた解析から
  • カルニチン ノ セイタイ サヨウ カルニチン ケッソン マウス オ モチイタ カイセキ カラ

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説明

カルニチンは, 発見当初, ビタミンBTと称されたが, 生体内で合成されるので, ビタミンではないとされた. しかし, 厳格な菜食主義者やカルニチンを含まないミルクを投与された乳児では血中のカルニチンは低下する. 老齢者ではカルニチン投与の効果が報告されている. また, さまざまな病態で血中濃度が低下し, 薬理作用を含め, カルニチンには多彩な機能が想定されている. 基本的には, カルニチンの機能は, 長鎖脂肪酸の酸化においてアシルCoAをミトコンドリアヘ輸送する担体となることである. また, カルニチンアセチル転移酵素の作用によってアセチルCoA/CoA比の制御にかかわっている. さらに, 先天性代謝異常症において蓄積するアシル化合物や, 投与される薬剤のアシル化合物の排泄に重要な役割を果たしている. 薬理的な量のカルニチン, およびアセチルカルニチンに関しては, 抗酸化作用やアポトーシス抑制の作用などが報告されている. 本稿では, われわれが数年来解析を進めているカルニチン欠損マウスにおける多彩な症状が, どのような機構によって生じるかを明らかにして, カルニチンの生体作用を解明しようと試みている現状について述べる.

収録刊行物

  • ビタミン

    ビタミン 78 (11), 545-554, 2004

    公益社団法人 日本ビタミン学会

被引用文献 (3)*注記

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参考文献 (51)*注記

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