レーザースキャナを使用したカラマツ林の葉面積密度の測定

書誌事項

タイトル別名
  • Measurement for Leaf Area Density of Larch using Laser Scanner

説明

1. はじめに森林の葉面積密度は、森林の微気象や放射環境を決定する重要なパラメータとして広い分野にわたって必要とされている。現在、森林の葉面積密度を測定するためにPlant Canopy Analyzer(LAI2000,Li-Cor、以下PCA)が広く利用されているが、PCAは測定が天候に左右されたり、葉面積密度を測定するためにはセンサーを高さ方向に移動する必要があるなど制約が多い。本研究では、PCAに関する問題点を解決するために、レーザースキャナを使用した葉面積密度の測定法を開発したので、その測定結果を報告する。2. 実験方法葉面積密度を間接的に測定する方法の多くは、樹冠を透過してくる日射の割合であるGap Fractionを測定することで成立している。日射の入射角θiにおけるGap Fractionは、T(θi)=exp{LG/cos(θi)}   ・・・  (1)で表される。ここで、TはGap Fraction、Lは葉面積指数、Gは光線の入射角と葉の傾斜角によって決定される係数である。(1)式をLについて解くことで、葉面積指数が求まる1)。本研究では、レーザースキャナを使用して樹冠のGap Fractionを測定した。レーザースキャナは、センサーから発射したレーザーが測定対象物に反射されて戻ってくるまでの時間から測定対象物までの距離を計算し、同時にレーザーの発射角度を記録しておくことで、測定対象物のxyz座標を測定することが可能である。したがって、樹冠に向けてレーザーを発射し、レーザーが樹冠によって遮断された高さを測定することで、層別のGap Fractionを測定することが可能となる。測定は、2002年9月10日に苫小牧フラックスリサーチサイト(苫小牧国有林内)のカラマツ林で行なった。レーザースキャナ(LMS-Z210,Riegl)を林床1mの高さに設置し、レーザーを上に向けてを発射してGap Fractionを測定した。また、タワー上26mの高さからレーザーを下に向けてを発射してGap Fractionを測定した。比較のため、2002年9月11日にPCAを使って葉面積指数を測定した。3. 結果群落全体の葉面積指数は、PCAでは3.5、レーザースキャナでは林床とタワーでそれぞれ4.2と5.1となり、レーザースキャナを使用した方が大きな値を示した。後で詳しく述べるが、タワーからの測定結果は地表面でのレーザーの遮断による影響を受けるため大きな値を示す可能性がある。地上からの測定で大きな値を示す原因については不明である。図1に、レーザースキャナを使用して林床とタワーから測定した葉面積密度の垂直分布を示した。比較のため、2001年8月に層別刈り取り法によって測定したカラマツ7個体の平均葉乾物重量の垂直分布もあわせて示した。葉乾物重量の垂直分布をみると、カラマツ葉は主に6mから16mの高さに分布していることが分かる。これに対して、レーザースキャナを使った測定では幹や枝、低木によるレーザーの遮断も含まれるため、葉面積密度に幹や枝の影響が含まれた結果となる。葉面積密度が最大になる高さは、地上で測定した結果がタワーから測定した結果よりも低い位置に見られる。タワーからの測定結果は、地表面に近い位置で大きな葉面積密度を示しているが、これはレーザーが地表面で遮断された結果、地表面付近のGap Fractionを正しく計算できなかったためと考えられる。森林の上からレーザースキャナを使って葉面積密度を測定するためには、植物によって遮断されたレーザーと地表面で遮断されたレーザーを区別する必要があり、そのためには地表面の高さを正確に測定しておく必要がある。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680679231872
  • NII論文ID
    130007019321
  • DOI
    10.11519/jfs.114.0.279.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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