刈払機用防護具の安全性評価試験装置の開発

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抄録

刈払機を用いた下刈り作業中に回転する刈刃と接触し、死亡や重傷に至る災害が毎年発生しており、下刈り作業中の災害を少なくするためには、刈刃に対して有効な防護具の着用が必要である。しかし、我が国の下刈り作業環境に適した有効な刈払機用の防護具がないばかりか、刈払機用防護具の安全規格も安全性を評価する装置すらないのが現状である。 そこで、刈払機用防護具の有効性と安全性を評価でき、今後の刈払機用防護具開発の指針となる資料を得るための装置を開発した。 装置は、既存のガソリンエンジン刈払機をバネの力によって軸周りに回転できる構造で、バネの取り付け位置またはバネの伸ばし方で回転速度を任意に設定できる。刈刃には下刈り作業でも多く用いられる丸鋸刃を使用したが、笹刈刃は広く普及しており、近年チップソーも多く用いられるようになっていることから、刈刃を交換して丸鋸歯以外の刃を用いて比較試験することもできる。試験片は台座に固定され、台座はフレームに取り付けられる。試験片の台座への固定には、素材試験の場合は平板を用い、製品試験の場合は足を想定した円筒を用いる。刈刃が試験片に当たる位置は、キックバックが起きず刈刃の切創能力が最も発揮できる位置が望ましいので、刈払機の軸に対して左側真横の位置で当てた。 試験手順は、まずエンジン始動後、所定回転数で安定させ、刈払機を所定位置まで回転軸周りに回させ、一旦停止させた後にバネの力で試験片方向へ回転させ刈刃を試験片に当てる。バネの力を使うことで任意に再現性のある回転速度、つまり、刈刃が試験片に接触する衝突速度を得ることができる。衝突速度は実作業で機械を振るときの早さを目安とした。試験片の評価は、傷の大きさ、試験片の傷み方、取り付けのずれなどを目視および高速度ビデオ撮影した画像からおこなった。 刈払機用防護具の安全性を評価する試験では、刈刃が試験片と接触するときの刈刃回転数と刈刃が接触する速度の2点が重要であることがわかった。また、防護具の安全性を評価するには、刈刃が切り抜けない構造(素材と構成)であることが第一であるが、保護すべき位置を確実に保護できる装着方法を備えていることが重要だと分かった。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680679314944
  • NII論文ID
    130007019381
  • DOI
    10.11519/jfs.115.0.p2108.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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