日本列島におけるナツツバキ属3種の比較系統地理

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タイトル別名
  • Comparative phylogeography of three </i>Stewartia</i> (Theaceae) species in the Japanese Archipelago

抄録

これまで日本の多くの樹種で系統地理学的研究が行われてきたが、これらは広域分布種を個別に取り上げたものが大部分である。一方、同じ属の複数種が同所的に存在するようなケースにおける種間交雑の影響や、特殊な分布類型を持つ種の知見は乏しい。日本に分布するナツツバキ属には、ナツツバキ(P)、ヒメシャラ(M)、ヒコサンヒメシャラ(S)の3種が存在し、それらが同所的に存在することもある。また、M、Sは、ソハヤキ型の分布を示す。本研究では、これら3種を対象に系統地理的構造を明らかにし、同時に種間の交雑の影響を議論した。<br>P、M、Sについて、分布域を網羅するように、それぞれ37、25、14地点からサンプルを採取し、1地点あたり4個体を目途に葉緑体DNAの2領域をシーケンシングした。結果、全体で13ハプロタイプが検出され、うち4つは種間で共有されていた。希少ハプロタイプは、MとSでは紀伊半島、四国、九州に散在したが、Pでは日本海側に集中した。このことから、過去にレフュージアとして機能した地域は、種によって異なるといえる。また、ハプロタイプ共有は、過去に種間の浸透交雑が起こった可能性を示唆している。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680682243200
  • NII論文ID
    130005474059
  • DOI
    10.11519/jfsc.125.0_127
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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