林冠つる植物への樹液流計測法の適用

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タイトル別名
  • Application of sap flow techniques to canopy lianas

抄録

林冠つる植物個体の水利用特性、林分蒸散に果たす貢献の評価を目指し、暖温帯常緑樹林に生育するつる植物4種(サカキカズラ、ハマニンドウ、テイカカズラ、カギカズラ)に対し、グラニエ法の適用を試みた。長さ1 cmの自作センサーを用い、野外個体の茎切断面からの吸水速度を基に校正を行ったところ、つる植物茎内の樹液流速は、標準グラニエ式による予想より数倍高く現れた。つる植物用の新たな換算式を基に、野外プロットにおいてつる植物(4種11個体)と優占樹木(4種10個体)に対する1年間の樹液流測定を行った。つる植物は年間を通して樹木よりも高い樹液流速を示したが(夏期に4倍、冬期に2, 3倍)、その相対的な日周変化、季節変化の様子は、両者でよく類似していた。樹液流データから個体ごとに蒸散量を推定し(基部直径と相関)、さらに個体の蒸散量-基部直径関係を林分の毎木データに外挿した。結果、つる植物は林分蒸散に対して12.2%の貢献があると推定され、これは基部面積に占める割合2.2%の5倍以上の大きさであった。この予測の精度は恐らく高くはないが、つる植物と樹木の葉量-基部面積のバランスを考えれば、妥当な結果であると考えられた。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680682606336
  • NII論文ID
    130005167342
  • DOI
    10.11519/jfsc.127.0_696
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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