コナラとスダジイの年輪における炭素安定同位体比変動

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タイトル別名
  • The stable carbon isotope composition in tree rings of Quercus serrata and Castanopsis sieboldii

抄録

近年、樹体年輪の安定同位体比(δC13)から得られる水利用効率情報から樹木の長期光合成変動の傾向をもとめる試みがなされている。しかし、年輪安定同位体解析においては、分析に供されるサンプル個体が限られるため、群落内での競争によって個体間差が卓越してしまうと種間差を抽出することが困難になる。そこで、同じ環境条件下で個体と群落の間で同調性が確立しているような林分でのサンプル抽出が必要である。本研究では、同じ気候条件下に生育している隣接する落葉樹林と常緑樹林において、それぞれの群落を代表するようなコナラと、スダジイをサンプル木として、年輪幅および年輪の炭素安定同位体比と気象要素との相関解析を行った。その結果、年輪幅は、コナラにおいて前年と当年の成長期の平均気温に負の相関、スダジイにおいては当年の全体の平均気温に負の相関を示した。炭素安定同位体比は、コナラにおいて前年と当年の成長期の平均気温と負の相関を示し、スダジイにおいては平均気温との明確な相関はなかった。本試験地における高温と乾燥は、常緑樹には影響を与えないが、落葉樹においては成長抑制の要因となることが示された。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680683687936
  • NII論文ID
    130005048878
  • DOI
    10.11519/jfsc.124.0.713.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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