津波被害を受けた海岸林におけるクロマツ・アカマツの衰弱・枯死

書誌事項

タイトル別名
  • Tree decline of Pinus densiflora and P. thunbergii in the tsunami flooded seacoast forests

説明

東北地方太平洋沖地震津波による海岸マツ林被害の実態を明らかにするため,青森県八戸市から宮城県山元町の様々な林相,津波被害状況の海岸林に固定調査区を設置し,クロマツ・アカマツの衰弱・枯死発生経過を2年にわたって追跡した。宮城県東松島市,亘理町,山元町の海岸林での調査結果によると,津波により倒伏・傾斜した前線部のクロマツはほぼ全てが被災当年秋までに枯死したが,後背地のクロマツ優勢木に被害は少なく,枯死木の大半を被圧木や混在するアカマツが占めていた。アカマツが優占する調査区では,被災当年秋までに優勢木,被圧木の区別なく約8割の個体が枯死した。以上から,クロマツはアカマツより海水への浸水に強く,津波による強度の樹体損傷や被圧等によるストレスがなければ枯死に至らない場合が多かったと言える。一方,青森県八戸市のクロマツ林では,被災以降衰弱が継続して進行し,翌年秋までにほぼ全ての木が枯死した調査区があった。近接してほとんど枯死が発生しない林分もあったことから,上記調査区では何らかの局地的な立地条件により海水由来の塩分の流亡が妨げられ,継続的な塩害によりクロマツの衰弱が進行したものと考えられた。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680684147328
  • NII論文ID
    130005048332
  • DOI
    10.11519/jfsc.124.0.220.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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