ニホンヤマビルの近年の分布拡大と遺伝的集団構造

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タイトル別名
  • Current range expansion and genetic population structure of <i>Haemadipsa japonica</i>

抄録

<p>ニホンヤマビル(以下、ヤマビル)は、ヒトやシカなどの大型哺乳類から吸血する。近年、全国的にヤマビルの吸血被害が増加しており、分布拡大が示唆されている。ヤマビルは移動性が低いため、遺伝的組成の地理的な違い(遺伝構造)や集団間の遺伝的分化を持つことが予想される。また、このような遺伝構造をもつとすれば、近年の分布拡大集団の遺伝的組成を調べることで、どの集団から拡大したのか特定できるかもしれない。本研究では、ヤマビルの遺伝構造の把握を目的とした。全国24集団233個体のヤマビルのミトコンドリアDNAのCOI領域の塩基配列を決定した。その結果、43のハプロタイプが検出され、兵庫県附近を境界に大きく南北2つのグループに分かれ、両グループ間には大きな遺伝的分化がみられた。これは地史的な分布変遷によって形成されたと推論された。栃木県においては、拡大集団の塩基多様度が土着集団より低かった。さらに核DNAのSSRマーカーを用いて解析した結果、栃木県では南北の2つの地域群を形成しており、北部の拡大集団は北部の土着集団から拡大し、これに伴う創始者効果の結果、塩基多様度が低下したと考えられた。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680685480576
  • NII論文ID
    130007020769
  • DOI
    10.11519/jfsc.128.0_286
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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