菅島の蛇紋岩土壌に生育する植物の元素組成と、ツゲの特異的なニッケル・鉄集積

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タイトル別名
  • Elemental composition of Sugashima Island plants and characteristic Ni/Fe accumulation in <i>Buxus microphylla</i>

抄録

[背景・目的]蛇紋岩土壌は高ニッケル、高Mg/Ca比、貧栄養などを特徴とする土壌であり、この厳しい栄養条件に適応した植物が特殊な植生を形成することで知られている。今回、本地域の蛇紋岩植生、特にツゲの優勢群落形成に関する知見を得るため、土壌および植物の金属集積量について調査を行った。 [方法]採石場周辺を含む菅島西部において、土壌および草本植物(51種)、木本植物(18種)およびシダ植物(6種)の地上部全体もしくは葉のみを採取した。サンプルを湿式分解し、ICPにより各種金属濃度を測定した。[結果] 調査地域10地点の土壌ニッケル濃度は平均2,060mg kg-1、またMg/Ca比の平均は9.79に達した。同地域の植物におけるニッケル集積量が平均20.3 mg kg-1なのに対し、ツゲは最高700mg kg-1と際だって高いニッケル集積性を示した。またツゲは平均値の約3倍のカルシウム集積量を示したほか、同地域の植物が鉄とニッケル含量に高い相関(R=0.392, P<0.01)にある中で、ニッケル量に対する極めて低い鉄集積量を示した。これらのことから、ツゲの優勢群落形成には本植物の鉄吸収とリンクしない高いニッケル耐性とカルシウム獲得能が関与する可能性が示唆された。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680685581056
  • NII論文ID
    130005491154
  • DOI
    10.11519/jfsc.126.0_606
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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