下層植生が針葉樹人工林の窒素循環に及ぼす影響

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タイトル別名
  • Effects of understory vegetation on nitrogen cycling in coniferous plantations

抄録

スギやヒノキの人工林においては下層植生を維持することが表土侵食防止、生物多様性保全、森林生産力保全にとって重要である。下層植生の葉の窒素濃度は高く、その存在は生態系全体の窒素循環を促進する働きが期待されている。本研究では、スギ21林分とヒノキ25林分におけるリターフォールのデータを取りまとめ、下層植生の存在量が植栽木や生態系全体の窒素動態に及ぼす影響を明らかにした。植栽木の落葉量と落葉窒素量の関係を対数変換後にRMA解析で解析した。回帰直線の傾きはスギでは傾き1からの有意な差はなく、落葉量に対して窒素濃度は一定になることを示した。ヒノキでは傾きは1より大きく、落葉量が多いほど窒素濃度が増加する傾向を示した。下層植生の存在量で2つのグループに分け、植栽木の落葉量―落葉窒素量の関係を解析したところ、スギでは下層植生の多いグループで、切片がやや小さい傾向が認められた。ヒノキでは傾きや切片に有意な差は認められなかった。この結果より、スギでは下層植生が多い林分でスギの窒素濃度が低下すること、ヒノキでは下層植生は、植栽木の窒素濃度に影響を及ぼさないことが示唆された。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680685695744
  • NII論文ID
    130005491093
  • DOI
    10.11519/jfsc.126.0_584
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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