森林におけるシカ問題:被害把握と対策の現状と今後の方向性
-
- 明石 信廣
- 北海道立総合研究機構林業試験場
書誌事項
- タイトル別名
-
- Evaluation and control of deer damage in forests
説明
シカの増加による林業被害や森林生態系への影響の拡大に伴って、シカによる植生改変や、それが他の生物にもたらす間接効果、下層植生の消失による土壌流出など、多様な視点からの研究が実施されてきた。また、被害・影響の実態を把握するための簡便な手法がいくつか開発され、現場レベルでも活用されつつある。林業被害に対しては、忌避剤による化学的防除、各種防除資材による単木的な物理的防除、防鹿柵による面的な物理的防除が実施されている。日本の林業において植栽初期の下刈りなどの育林コストが高いことが課題とされているが、シカ対策は育林コストをさらに高めている。また、このような対策では森林生態系を保全することはできない。シカ問題の解決には、シカの個体数管理が不可欠である。そのためには、対象となる森林におけるシカの生息密度と植生への影響のレベルを把握して捕獲目標を定め、森林管理者が積極的に捕獲にも関わっていく必要がある。シカを低密度に維持することにより、被害対策コストの軽減も図られる。森林への影響把握、被害対策、シカの個体数管理等の手法はそれぞれ確立されつつあり、これらを体系化して森林管理に組み込んでいく必要がある。
収録刊行物
-
- 日本森林学会大会発表データベース
-
日本森林学会大会発表データベース 126 (0), 865-, 2015
一般社団法人日本森林学会
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390282680686481536
-
- NII論文ID
- 130005491397
-
- 本文言語コード
- ja
-
- データソース種別
-
- JaLC
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可