応力波伝播速度測定によるオオシラビソ・シラビソ生立木の非破壊腐朽診断

DOI
  • 小林 元
    信州大学農学部附属アルプス圏フィールド科学教育研究センター
  • 高尾 真世
    信州大学農学部

書誌事項

タイトル別名
  • Non-destructive diagnosis of wood decay in Abies species using stress-wave velocity measurement

抄録

<p>倒木の発生は森林の更新をはかるうえで重要なイベントである。吉村(2009)は信州大学西駒ステーションのオオシラビソ・シラビソ林において,標高によって林分構造が大きく異なり,標高が高くなるにつれて倒木の本数が増大し,個体数密度が高くなることを報告している。倒木が発生する原因として,高山においては風雪の影響に加えて主幹の腐朽も考えられる。本研究では応力波伝播速度測定による生立木の腐朽診断(小林ら,2006)を行い,木材腐朽の発生が林分構造に及ぼす影響について考察した。調査は西駒ステーション丸尾根上の標高2045m,2255m,2453mの固定試験地で行った。オオシラビソ・シラビソの応力波伝播速度のヒストグラムは1.1~1.6km/sの階級にモードを持つ正規分布形を示した。一方,レジストグラフで腐朽木と診断した個体の応力波伝播速度は,0.7km/sの階級にモードを持つ正規分布型を示した。応力波伝播速度が0.7km/s以下の遅い個体の割合は標高が高くなるにつれて増大した。このことから,西駒ステーションのオオシラビソ・シラビソ林においては,標高が高くなるにつれて木材腐朽の発生が増大し,倒木を発生させる要因の一つになっていると考えられた。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680686672384
  • NII論文ID
    130007021476
  • DOI
    10.11519/jfsc.128.0_563
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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