由利本荘市加田喜沼湿原の花粉分析に基づく完新世の森林変遷

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タイトル別名
  • Forest change based on pollen analysis from Kataki-numa bog in Yurihonjo city during the Holocene

抄録

発表者らは、秋田県地方を対象にスギ林が拡大・成立するまでの過程を古生態学的手法により復元し、人間活動がスギ林変遷に及ぼした影響の解明を進めている。本発表では、秋田県南西部地域の森林変遷を明らかにするために、由利本荘市の加田喜沼湿原から採取した全長10mのボーリング試料を用いて花粉分析を行った結果を報告する。<br>9.9m深から得られた有機質粘土の放射性炭素による暦年較正値は11330-11210年(2σ)であり、採取コアは完新世初頭からの環境情報を含んでいた。花粉産出状況は、10.0-7.5m深ではコナラ亜属やブナ属などの広葉樹花粉が優占していた。しかし、7.5-4.0m深では花粉産出は少なく、破損した再堆積とみられる花粉が多かった。スギ花粉は3.5m深から増加し、1.8m深で80%に達した。それ以浅ではスギ花粉は減少し、0.8m深から二葉型のマツ属花粉が増加した。秋田周辺でのこれまでの花粉分析結果との比較から、広葉樹の優占期は完新世初期から中期、スギの拡大期は完新世後期の森林変遷を示していると推定される。また、近年のマツの拡大は、スギ利用等の人間活動の影響増大の結果と考えられる。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680687186432
  • NII論文ID
    130005491134
  • DOI
    10.11519/jfsc.126.0_637
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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