モンゴル最北部・フブスグル湖集水域における年輪垂直分布の気候変動応答性

書誌事項

タイトル別名
  • Response of tree ring to climate change of watershed around Lake Hovsgol, northernmost Mongolia

説明

モンゴル北部・フブスグル湖集水域は,7月の気温がタイガ北限に匹敵し,シベリアカラマツ(<i>Larix sibirica<i>)の広大な純林を形成している.湖南端にあるHatgal気象台によると,7月の月平均気温は,平均11.6℃(1970~1984年)から13.2℃(1995~2009年)へ1.6℃上昇した.こうした気温の変動が樹木の成長に及ぼす影響を調べるため,Hatgal北方20kmの斜面で気温の垂直分布観測と併せて,湖面(標高1645m)から森林限界(2300m)まで標高別の6地点,Hatgal(1655m)の1地点,および湖の影響を受けないHatgal南西30kmの森林限界(2250m)の1地点で,それぞれ年輪コア40試料を採取した.コア画像から解析ソフトWinDENDROで年輪幅を読み,ソフトCOFECHAやARSTANで標準化した年輪指数(TRI)を解析した.その結果,夏期の気温逆転層をもたらす湖水効果は湖面から標高1850mまで及び,直近15年の気温上昇は同標高までの年輪幅変動の振幅を小さくする一方,森林限界の年輪幅変動に湖は影響しないことが判明した.以上から,生育限界の樹木生長は,夏期の冷涼な気温変動に敏感に応答していたが,気温上昇によって生育環境が改善され鈍感な応答に変わったことを示した.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680687193600
  • NII論文ID
    130005491145
  • DOI
    10.11519/jfsc.126.0_635
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ