「木の文化」の持続可能性に関する一考察 -全国本山寺院の丸柱にみる森林資源の長期劣化傾向-

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タイトル別名
  • A study on Sustainability of "Culture of Wood" in Japan from the perspective of Forest Resource

抄録

寺社・城郭といった大規模な伝統木造建造物の築造・補修には、一般的なものより長大・高品質な木材が必要であり、近年このような木材の確保が課題となっている。本報告はこうした課題について俯瞰的に知見を得ることを目的とし、1.各宗派を代表する寺院である本山寺院の、最も長大・高品質さが必要な部材である本堂の丸柱に着目し、木材利用形態の歴史的特徴を分析した。2.伝統建築を扱う業者への聞き取り調査を実施し、長大・高品質材供給の現状と課題を分析した。<br> その結果、地域等による差はありながら、9~16世紀はヒノキ、17~19世紀はケヤキ、昭和期から平成初頭までは台湾ヒノキおよび鉄筋コンクリートが主であった。本堂丸柱のように特に長大・高品質な木材の生産方法は、少なくとも近世以降は持続可能な形態ではなかったことが示唆された。一方現在では海外からの供給見込みは厳しく、今後も「木の文化」を継承していこうとするならば、国内での育成が不可欠であると考えられた。しかし国内では、役物市場の崩壊による優良林所有者の育林意欲低下や資源の空洞化が懸念され、何らかの手立てが必要である。今後さらなる情報収集と具体策の検討が望まれる。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680687323520
  • NII論文ID
    130005474129
  • DOI
    10.11519/jfsc.125.0_231
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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