桜島における火山灰粒径分布測定に基づいた気象レーダーによる火山灰堆積量推定手法の開発に関する研究
書誌事項
- タイトル別名
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- Study on the Method of Estimating Volcanic Ash Volume by Using Meteorological Radar based on Particle Size Distribution at Sakurajima Volcano
説明
近年, 日本のみならず世界的に火山活動の活発化に伴う災害が増加している. 火山に近い都市部では, 市街地に降る火山灰は交通機関の麻痺や停電など社会的活動への影響が非常に大きい. また, 火山噴出物が山腹に厚く堆積し雨が降ると土石流が発生する. このような土砂災害の予測や早期の復旧作業を実施する際に, 降灰量とその範囲を正確に把握することが必要になる. そこで本研究では遠隔から安全に観測可能な気象レーダーを用いることによってより精度の高いリアルタイム降灰量分布情報の取得を目指す. 気象レーダーにより降灰量を算出するには火山灰の粒径分布を知る必要がある.本研究では, 火山灰用に改良した地上設置型ビデオゾンデという火山灰粒径分布取得装置を開発し, 噴火事例の多い桜島島内で移動観測による地上降灰量調査(火山灰粒径分布や形状の把握)を行った. 本研究では火山近郊に設置された気象レーダーの観測値(レーダー反射因子や偏波パラメータ)と, 上述の地上に設置したビデオゾンデによる地上降灰の観測値(ノンパラメトリックに算出した粒径分布やレーダー反射因子)を用いることによって気象レーダーで検知されている火山灰の統計学的な検証やレーダー観測値と地上観測値の関係性の究明を試みた. 最新型FURUNO気象レーダーでは, 観測地点上空のレーダー反射因子を晴天時と爆発時の値で統計学的に比較すると爆発時には晴天時と異なるエコーが得られており, 規模の大きくない噴火でも上空の微細な火山灰粒子を捉えられており, 火山灰検知の精度が高かった. 地上観測で得られたノンパラメトリックの粒径分布により算出されたレーダー反射因子と気象レーダーで得られた観測地点上空のレーダー反射因子の比較を行ったところ, 観測標高の高いFURUNO気象レーダー観測値と地上観測値との相関は良くなかった. 一方, 観測標高の低い垂水市の国土交通省XバンドMPレーダー観測値と地上観測値の相関は, ビデオゾンデで得られた1分間毎の観測粒子径が最も大きかった時間帯で比較的良い結果が得られた. 課題として地上設置型ビデオゾンデによるサンプルエラーが大きかったので, その原因を検証し, 火山灰の捕捉精度を向上させる必要がある. また, 気象レーダー観測値と地上での観測値の関係を得るには, 観測で規模の大きい噴火を捉えることが重要であり, さらに観測データを増やしていく必要がある.
収録刊行物
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- 水文・水資源学会研究発表会要旨集
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水文・水資源学会研究発表会要旨集 28 (0), 100119-, 2015
水文・水資源学会
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680688054272
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- NII論文ID
- 130005491902
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可