粒度分布を考慮した阿武隈川流域の河川中浮遊粒子動態解析

書誌事項

タイトル別名
  • Size distribution analysis of suspended solids in river water in the Abukuma river basin

説明

2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震に伴う津波によって全電源が損失し、福島第一原子力発電所(FDNPP)事故が引き起こされた。FDNPPから大気中に放出された放射性物質は、大気拡散に伴って移動しながら地表面及び海面へと降下し、日本本土にも広範囲に及んで放射性セシウムが沈着したことが明らかとなっている。また、セシウムはアルカリ金属に属し、土壌の負電荷に強く吸着するが、放射性セシウムは粒径63 µm以下の粘土・シルト粒子に偏在していることが明らかとなっている。そのため、放射性セシウムの地表面での残留、河川への流出、底質への沈降・分配、海域への流出などの環境動態プロセス全体の評価を行う上で、粒径を考慮した土壌粒子の挙動を推定する必要がある。そこで、本研究では、流域が福島・宮城・山形3県にまたがり、福島県主要部である郡山市や福島市、宮城県南部の岩沼市等の都市を縦断する阿武隈川流域を対象として、水文/水質モデルを適用し、粒度分布を考慮した河川中浮遊粒子(SS)の動態解析を行った。計算領域の格子解像度は3次メッシュとし、ダムとしては、流域の根幹的治水施設である七ヶ宿ダム・摺上川ダム・三春ダム、3基のダムを考慮した。計算期間は、2009年から2011年の3年間とした。河川中SS濃度計算結果について、実測値と計算日平均値の比較から、平水時の再現性は概ね良好となったが、出水時には観測が行われておらず、検証方法を考案する必要がある。また、阿武隈川河口における月平均SS濃度計算結果の粒子内訳から、河川中SS高濃度の原因が、シルト粒子であることが示唆された。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680688300928
  • NII論文ID
    130005491789
  • DOI
    10.11520/jshwr.28.0_100022
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ