ミャンマーにおける水循環解析システムの構築

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  • Water Circulation Analysis System in Myanmar

抄録

ミャンマー国は、2011年に民主化を進め始めた影響で、社会経済活動が急速に変化している。主要産業が農業・工業であるこの国では、特に水資源・森林資源の有効利用は重要な開発課題である。<br><br> 気象特性としては、インド洋モンスーンの影響を強く受け、雨季と乾季がはっきり分かれており、地域によっても降雨量の差が大きい。地形特性としては、西、北、東を高い山地で囲まれており、南部でアンダマン海に面している箱形の盆地で、ここが経済、農林業の主要な地域となっている。<br><br> 本研究では水資源の効率的な利用の第一歩として、水文流出モデルBASIN-HSPFを基礎とした水循環解析モデルの構築をSittang川流域を対象に行う。このモデルの特徴は解析対象の領域を透水性の領域PERLND、不浸透性の陸域IMPLND、完全混合状態を想定した貯水池・水路RCHRESという3つに大分して考えていることであり、それぞれの領域によって必要データやパラメータの種類も違っている。加えて解析精度が一時間単位と細かく、水質や栄養面もパラメータとして入力できることも本モデルの大きな特長である。また解析の対象とした流域の総面積は約34380㎢、年間降雨量は上流部で約760㎜、下流部で約3800㎜である。モデルを検証するためには、河川流量の観測データが必要であるが、降雨データ、河川流量データの極めて少ない、いわゆるゲージレス地域であるため、降雨データはTRMM衛星データからの推定降雨量を用い、Sittang川の流量データは現地で入手した。さらに、DEM データはHydroShed、蒸発散を解析するための最高・最低地上気温データ(SWAT)、土地被覆データにはGLCFのデータを用いた。また、気象・地形特性の影響で、内地には少雨地域があり、こういった地域では水を確保するためにダムや灌漑用の貯水池が多く存在する。実際に国の水源の9割を貯水池に頼っている状況である。そのため、ダムの運用という人為的影響も無視できない。<br><br>本研究では、Sittang川の流量データを用いて解析結果と比較することで、水文流出モデルBASINS-HSPFの検証を行い、主要なパラメターを同定できた。また、ダム・貯水池による人的水管理効果をモデルに導入することができた。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680688366208
  • NII論文ID
    130005491844
  • DOI
    10.11520/jshwr.28.0_100036
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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