全球氷河モデルと世界水資源モデルを用いた将来の水資源・食糧生産の展望
書誌事項
- タイトル別名
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- A future projection of water resources and food production using the global integrated water resource assessment model H08 and the global glacier model HYOGA2.
説明
全球氷河モデルを世界水資源モデルと結合し,氷河の融解が利用可能な水資源量の変化に与える影響を推定するフレームワークを構築した.必要な将来気候シナリオ,社会経済シナリオの整備を行い,気候変動・水利用変化を考慮したシミュレーションを実行することで,氷河の融解および複数の社会経済シナリオを考慮した水資源量および食糧生産量の推定を行った.本研究では水資源量および食糧生産量の推定を,世界水資源モデルH08を用いて行った.H08モデルは陸面過程,河川,作物成長,貯水池,取水,環境用水のサブモデルから構成されており,気象および土地利用の情報を入力として,貯水池操作や農業取水等の人間活動を考慮した水循環量を全球スケール,日単位で計算する.H08モデルは河川からの灌漑取水量の推定を目的として,世界の農事暦を推定するための作物成長モデルをサブモデルとして持つが,この作物成長サブモデルは各計算格子における主要な作物の収量を推定しているため,この作物サブモデルが推定する主要な作物の収量の将来変化を求めることにより,気候変動が将来の食料生産に与える影響を推定した.全球水資源モデルに入力として与える気候シナリオとして,WATCHプロジェクトにより作成された20世紀再現気候外力データセットWFD,ならびに,WFDを参照データとしたバイアスの手法を適用しCMIP5で公開されているGCMの出力値を補正した外力データを用いた.また, 既往研究によって求められた氷河の融解量を用いて,この値とH08モデルの陸面サブモデルから得られた流出量を併せることにより,氷河の融解が水資源量および食料生産量に与える影響を推定した.将来の水資源量を考慮する際には,将来の社会経済の変化が水資源量や農業生産量に与える影響も無視できない.そこで,本研究では既往研究で得られているSSPシナリオ毎に設定された農業・工業・生活の各取水量に関するパラメータを利用し,複数の将来の社会経済の変化を考慮した水資源量ならびに食糧生産量の推定を行った.なお,これらのデータは空間解像度が0.5度,時間解像度が日単位であり,本研究ではこの解像度で以下の計算を実行した.得られた結果より,氷河の融解量の変化および将来の気候変動・水利用変化が作物成長に与える影響が明らかとなり,高温ストレス、水ストレスの変化により将来の作物収量が減少する例が示された.
収録刊行物
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- 水文・水資源学会研究発表会要旨集
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水文・水資源学会研究発表会要旨集 27 (0), 100017-, 2014
水文・水資源学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680688826112
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- NII論文ID
- 130005481932
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可