気候変動が日本の食糧生産・水需給に与える影響評価

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • An impact estimation of climate change on rice production and water demand-supply balance in Japanese Basins

抄録

気候変動が大きな問題となっている現在,その影響を解釈・翻訳し,社会に伝える事は科学の重要な使命である.気候変動が水需給バランスに与える影響評価研究は,特定の流域に対しては多くなされてきたが,日本の全流域を対象としては行われていない.本研究では,稲成長・水文陸面・灌漑・河道流下・ダム操作の5つのモジュールから成る水資源モデルを開発し,日本全域に適用して検証を行った.また,MRI-AGCM20から出力される,気象強制力7要素のデータを用いて解析を行い,気候変動が日本の食糧生産・水需給に与える影響を推計した.得られた主要な成果は以下の通りである.ⅰ) 現在・近未来・世紀末の解析を行った結果,降雪量の多い地域で流況変化が大きく,12月から3月にかけての流量増加や,融雪期である4月から5月の流量低下が予測された.ⅱ)水ストレス変化をCDW指標により計算した結果,世紀末では水資源量は増加するにも関わらず水ストレスが増加する地域も多く,単純に水資源量の増加が水ストレス緩和に帰結しない事を示した.ⅲ)温暖化が日本の米収穫量に与える影響を推計した結果,北日本・東日本では,近未来・世紀末に進むにつれ,収量の増加が見込めることが分かった.ⅳ) 各都道府県における収穫を増加させる策として,耕作の早期化が良いとの知見を得た.耕作の早期化を図る事により,中日本・西日本において,収量増加が見込める事が分かった.特に九州地方では,田植日の変更により,収量の増加とともに水ストレスの減少が予測された.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680689264384
  • NII論文ID
    130004628482
  • DOI
    10.11520/jshwr.25.0.88.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ